森氏の発言は国際的に報道され日本の女性差別を海外にも印象付ける形となってしまったし、麻生氏の発言については本人が撤回、岸田首相も苦言を呈した。また、疑惑の段階とはいえ性暴力問題は「些細なこと」ではないのは言うまでもない。
このような認識を企業のトップがネット上で全体公開してしまうのは、倫理的な問題もさることながら、リスクヘッジの面でいかがなものなのか。
さらに、「最近、小さいながらも似たようなことがウチの会社にもありました。その時私は絶対に社員をクビにするつもりは全くありませんでした。だって共に働いてきた社員じゃないですか」という記述もあった。
この部分をそのまま受け取るのであれば、松本氏の報道と似た問題が社内で持ち上がった際に、当該の社員に温情をかけた、というふうに読めてしまう。その影には、何らかの被害を受け泣き寝入りをした人がいたのではないか――。そんな詮索が可能な文章である。
松本氏や伊藤選手には批判の声も大きいが、一方で人気者であるだけに擁護の声も大きく、それぞれを告発した女性たちにも相当な覚悟があったであろうことは想像に難くない。しかし、M氏のような地位のある男性から見ると、男性側が一方的に叩かれ、これまで築き上げてきたものを簡単に奪われているように見えるのかもしれない。
自分たちの声が封じられ、なかなか本音も言えず苦しい思いをしている。そう感じているのかもしれない。
「安全地帯」であったはずの
Facebookに潜んでいた死角
なぜ炎上投稿をしてしまうのか
Facebookの投稿は全体公開であっても、X(旧ツイッター)よりも拡散しづらく、身内感の強い「お友達」内のみに閲覧されることが多い。そのためXに比べて炎上が少なく、かなり極端な発言であっても、コメント欄が多少荒れる程度で、炎上にはなかなか至らない。
しかしM氏の投稿はスクリーンショットがXなど複数のSNSで拡散し、炎上につながることとなった。ご本人にしてみれば、まさかこれほどの人に閲覧されるとは思っていなかった、というところなのではないか。