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NTTの「光半導体」事業が注目されている。生成AI強化のため世界中でデータセンター需要が急増する中、光半導体がデジタル化と省エネの切り札になるからだ。NTTは国内外の有力企業と連携を強化し、技術開発を急いでいる。その背景には、iモードの世界的な普及を実現できなかった大いなる反省があるだろう。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

NTT「光半導体」の驚くべき潜在能力

 最近、相次ぐ半導体工場の建設や水素製鉄、全固体電池の開発など、わが国経済にとって明るいニュースも舞い込むようになった。中でも1月30日、経済産業省が「NTTが進める光半導体事業に最大で452億円を補助する」と発表したのは注目に値する。

 振り返れば2019年、NTTは「IOWN」(アイオン、Innovative Optical and Wireless Network)という光を用いた通信技術の研究開発を強化した。光半導体の潜在能力は非常に高い。特に重要なのは、今後、需要が高まるデータセンターの電力消費量を大幅に軽減する可能性があることだ。

 近年、生成AIの性能を引き上げるため、世界中でデータセンター需要が急増している。それに伴い消費電力が大きく増加する。国際エネルギー機関(IEA)は、データセンターでのAI学習強化により、26年の電力消費量が22年の2.3倍程度に増えると予想した。

 一方、主要国の電力供給能力の余裕は少ない。異常気象で冷暖房需要は増えた。電気自動車(EV)シフトも電力需要を押し上げる。供給面で、脱炭素に対応した発送電インフラの整備は一朝一夕には進まない。地政学リスクの上昇で、エネルギー資源調達コストの上昇も懸念される。光半導体は世界経済の成長率向上と省エネの両立の切り札になりうる。

 NTTは光半導体を実用化し付加価値を高めるため、国内外の企業と協力体制を強化している。「iモード」失敗の教訓を生かし、国際的なコンソーシアムの強化を急いでいるようだ。NTT主導で、国際的な企業連合の体制が整備される期待も高い。