NTT帝国の奇襲#5Photo:kyodonews

NTTの島田明社長が人事改革に大ナタを振るっている。今後、33万人組織の頂点に立つ社長レースや幹部人事はどう変容していくのだろうか。特集『NTT帝国の奇襲』の#5では、NTT社内で「社長交代26年説」が浮上する背景を明らかにしつつ、社長レースで有力視される後継3候補の実名を公開する。(ダイヤモンド編集部 村井令二、浅島亮子)

NTT「総人労」の元締め
島田社長が手掛ける人事大改革

 NTTには、グループ内だけで通用する独特の“人事の流儀”がある。グループ社員33万人という巨大組織を統率するには、「官僚よりも官僚的」とされる硬直的な人事システムの導入は必要悪でもあった。

 例えば、入社1年目から同期と競争し、順番が付けられる。同期で一番出世が早い「最早組(さいそうぐみ)」、それから一歩遅れてキャリアを歩む「次走組(じそうぐみ)」といったNTT特有の専門用語が存在する。

「総人労(そうじんろう)」というのもNTT用語だ。巨大組織を動かす総務・人事・労務部門は、NTT内で出世の王道コース。2022年に就任した島田明社長は、この三つの部門全てを経験しており、総人労の元締めのような存在である。最早組や総人労からも分かるように、NTTでは、年功序列や長期安定雇用を前提とした人事システムが採用されてきた。

 年功序列から実力本位主義へ――。現在、島田氏は職務や勤務地を限定しない「メンバーシップ型」雇用から、職務の内容で社員の処遇を決める「ジョブ型」雇用への転換を急いでいる。そうすることで、年功序列を廃し、入社年次や過去のキャリアで出世・待遇が決まる人事の硬直性にメスを入れようとしているのだ。

 総人労の元締めたる島田氏が、これまでまかり通ってきた人事システムを否定し、大掛かりな人事改革に挑んでいるのだ。今後、33万人組織の頂点に立つ社長レースや幹部人事はどう変容していくのだろうか。

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