共働きのパワーカップルのように見えて、実は貯蓄がたまらないことも……?! 2024年からスタートした新NISA(少額投資非課税制度)を中心に、資産運用のメリットや活用法について、ファイナンシャルプランナー深田晶恵さんと、ロボアドバイザーサービスのウェルスナビ代表取締役CEO柴山和久さんが本音で徹底討論した「新NISA完全活用法」セミナー(23年12月21日開催)より、共働き夫婦で資産が意外と貯まらない仮想ケースへのアドバイスをダイジェストでご紹介します。

【ケース2】45歳男性Mさん(家族:40歳の妻)
共働きで、家賃や生活費を共同口座で管理し、あとはそれぞれ自由にお金を使っている。
いま暮らしている都市部から、退職後は緑豊かな郊外に移住し、理想の住宅を建てるのが夢。
10年前に結婚して、月5万円を貯蓄に回してきた。貯蓄は600万円ほどあるが、60歳までにあと1200万円は貯めたい。
これまで貯蓄に回していた月5万円のうち2万円をNISAの積み立てにまわし、様子を見て銀行口座の貯蓄からもNISAに回してみたいと思っている。

40代共働き夫婦。意外と貯蓄がたまらない理由とは?<投資ケーススタディ2>FP深田晶恵さん×ウェルスナビCEO柴山和久さんに聞く写真はイメージです(Photo: Adobe Stock)

――このご夫婦に、お二人からワンポイントアドバイスをお願いします。

柴山和久さん(以下、柴山) 一般には株だけに投資しているケースが非常に多いのですが、その場合、少額で始めた当初はさておき、投資金額が増えていく場合はリスクが大きくなります。資産運用の額が増えてきたら、債券や金などさまざまな資産に分散してリスクを抑えるのがお薦めです。この方の場合、すでに600万円の預貯金に対し2万円を積み立てているとすると、積立額が小さいですから、全部株式の投資信託だとしてもリスクは小さい。この比率が逆転してくるときに備えて分散投資をしていくことが必要です。分散投資の効果は経験を通じて学ぶところもありますから、株式だけでなく債券や金などにも分散されていくことをお薦めします。

 実際のところ、特定の資産で長期的に高いリターンを得られるとは限りません。たとえば2011年は金のリターンが一番高くて9.6%でした。2021年は不動産が一番上がっていて38.7%、次が米国株で25.7%でした。直近では米国株が好調なイメージが強いですが、10年ほど前は米国株がよくない時期が続いていました。2000年代は不動産や金、債券のほうがよかったのです。我々の記憶というのは意外と短期的で、10年ぐらい前のことは忘れてしまって、直近のものに引っ張られがちです。直近で増えている資産にみんなで一斉に投資する傾向があることも覚えておいたほうがいいでしょう。

40代共働き夫婦。意外と貯蓄がたまらない理由とは?<投資ケーススタディ2>FP深田晶恵さん×ウェルスナビCEO柴山和久さんに聞く

深田晶恵さん ご夫婦が共同口座で必要経費を管理して、あとは双方とも自由に使っている、というところが一番気になっています。これだとお互いがいくら使っていくら貯めているかわからないので、実はなかなか預貯金が貯まらないんですよね。共働きなのに、2人あわせた貯蓄額が月5万円だと少ないですし、夫と妻のそれぞれの貯蓄額が不明。そういう情報開示は夫婦間で必要です。共働き夫婦なのにお金が貯まらないのは「内緒と不干渉」が原因でしょう。たとえば夫の貯金目標を「月5万円×12カ月+ボーナス20万円×②=年100万円」などと決めて、1年後にお互い貯まったか確認してください。それぞれ貯める口座は別々にしてくださいね、どちらのお金かわからなくなりますので。そのうえで、それぞれ投資に回す金額を話し合いましょう。

柴山 「内緒と不干渉」……なるほど。気を付けるように肝に銘じます。