接待で使ったおカネをいかに経費で落とすか、悩ましい思いをしたことのある人も多いだろう。個人事業主と法人では「交際費」の扱いは全く異なるし、利用できるケースはまれだが、給与所得者が交際費を確定申告できる制度だってある。どうすれば「交際費」が経費として認められるのか。税制の仕組みを整理してみよう。(ZEIKENメディアプラス 代表取締役社長 宮口貴志)
顧客との飲食などの「交際費」
働き方で扱いはどう変わる?
所得税の確定申告シーズン真っただ中である。個人事業主にはまさに正念場。インボイス制度の開始で初めて消費税の申告をする人もいるだろう。ならば、少しでもたくさん経費を計上したいと考えるのは人情だ。
自宅で仕事をする人の場合、例えば、生活と事業の両方に関わる家賃や水道光熱費(家事関連費)のうちどのくらいが事業のために使われたか、国税当局はその経費割合の合理性に目を付ける。それと同じくらい、申告内容に調査の目が向けられやすいのが「交際費」(*1)である。前回、副業の確定申告のお話でその理由について触れているので、そちらもぜひご参照いただきたい。
個人事業主だけなく、ビジネスパーソンだって自身が立て替えた飲食接待費の処理には関心があるはずだ。「交際費」が経費として認められるためのルールは、個人事業主、法人、給与所得者によって異なる。そして、意外に思われるかもしれないが、給与以外に収入を持たないビジネスパーソンの皆さんも「交際費が会社の経費で落とせないとき」は、確定申告とまったく無縁というわけでもない。
そこで今回は、個人事業主、および法人に勤務するビジネスパーソン(給与所得者)の視点から、客先を接待した時どのような経費計上の方法が使えるのか、その税制の仕組みを整理してみたい。
*1 「接待交際費」または「交際接待費」という場合もある。