東大生の就職先としても注目され、人気が高いコンサルティングファーム。一流のファームでは、どんな採用基準で人を見ているのか?『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』の著者であり、コンサルティング業界に特化したエージェントとして、17年間転職支援をしてきた久留須 親(くるす ちかし)氏に、その傾向の変化を聞いた(書籍から一部を抜粋・編集して掲載しています)。

【一流コンサルに学ぶ】「頭はいいけど仕事を任せたくない」と思われる人と「こいつ、若いけどすごいな」と思わせる人の違いPhoto: Adobe Stock

「頭がキレキレで、上から目線で、近寄り難い人」はフィクション

「上から目線でファームの中途採用セミナーに参加して初めてコンサルタントに会った人から必ずもらう感想が、「意外と普通の人でした」「とても気さくで、身近な印象でした」というものです。

 私自身、これまで多くのコンサルタントの方々と接してきましたが、ファームのパートナーも含め、いわゆる「偉そうな人」は一人も見たことがありません。頭の回転はずば抜けて速いですが、皆さん気さくな方ばかりです。

 世間の「イメージ上のコンサルタント」と「実際のコンサルタント」とは大きなギャップがあるので、注意が必要です。「頭がキレキレで、やや上から目線で、一見近寄り難い人」という勝手なイメージが一人歩きしていると感じます。

 コンサルティングの仕事内容を正しく理解することで、どのような「印象」が求められているのかが、自ずと見えてきます。これは、一般のビジネスパーソンにも応用できるポイントです。

・ギラギラより「清潔感」

 コンサルタントは、いわゆる「お客様商売」です。第一印象で最も大事なのは、クライアントを不快にさせない「清潔感」です。決して高価なスーツやアクセサリーを身に着ける必要はなく、サイズが合っていてきちんとクリーニングに出していれば十分です。見るからにギラギラした派手な身なりをする必要はありません。

・若々しさより「成熟感」(マチュア)

 コンサルタントがプロジェクトで会う人々は、マネジメント層から現場の社員までとても幅広いです。マネジメント層から見ればコンサルタントは若く見えるので(実際に自分の子どもより年下だったりもします)、「こんな若造に経営についてのアドバイスを任せて大丈夫なのか……?」と思われないことが大事です。つまり、落ち着いた、成熟感のある(マチュアな)立ち振る舞いが求められます。

・上から目線より「親近感」

 営業や工場などの現場社員の中には、コンサルタントが現場の情報収集にやってくると聞くと身構えたり、さらには敵対心まで持っていたりする人もいます。まずはこのような相手の警戒心を解いて懐に入らないと、現場の真の状況や本音などの得たい情報が得られずに終わってしまうこともあります。壁を感じさせない「親近感」が大事なのです。

 安心感を与える立ち振る舞いや、相手の懐に入るような親近感やコミュニケーションは、これまでの経験が最も影響します。全く意識してこなかった人には一朝一夕で身につけるのは難しいものではありますが、今後の意識と経験でカバーすることは十分可能です。