金融機関との付き合いを予習
決算書は立体的に読もう

 中小企業の社長であれば避けられないのが、金融機関との付き合い。財務に関して建設的な話し合いをするためにも、特に決算書についての知識を深めておく必要がある。

「経営や組織についてはよく勉強しているのに、『決算書の見方がいまひとつ分からない』という後継ぎが結構います。これが後々致命傷になる可能性もあるんです」

銀行などの金融機関は、「社長が自社の財務を把握しているか」をよく見ている。さまざまな提案をしたり、融資の金額を検討する際の重要な判断材料だ。山野氏が後継ぎたちに勧めているのが、先代と金融機関との面談に、できる限り同席すること。

「最初は横に座って話を聞くだけでも十分です。相手は何を知りたがっているのか、それに先代はどう答えているかを目の前で見ることにより、家業の財務の“クセ”のようなものも知ることができます。決算書の見方も立体的になるはずです」

 また、大事なビジネスパートナーとして忘れてはならないのが、税理士だ。同族企業では、昔から代々同じ税理士事務所と付き合っている場合が多い。しかし、自分とは時代感覚がずれていたり、相性が合わなかったりという場合もある。これから目指している会社の在り方に合った税理士をしっかり見極め、必要なら代替わりの際にスイッチするのが良いだろう。