「コンサルティング業界の人気は高まり続けているのに、誰もコンサルティング業界のことを理解できていない」──。そう嘆くのは、コンサルティング業界に特化したエージェントとして、17年間転職支援をしてきた久留須 親(くるす ちかし)氏だ。久留須氏はコンサルティングファーム志願者の「駆け込み寺」として、マッキンゼー、BCGなどの経営戦略系ファーム、そしてアクセンチュア、デロイトなどの総合系ファームに、多くの内定者を送り出してきた。著書『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』では「ファームに入社した人の共通点」「具体的にどんな対策をすれば受かるのか」「入社後活躍する人とは」などについて、史上初めて実際に入社した3000人以上のデータを分析し「ファクトベース」で伝えている。「コンサルティング業界への転職を考えている」という人はもちろん、「キャリアチェンジを考えたい」さらに「コンサルタントのスキルが気になる」という人まで役立つ一冊だ。
今回は、本書の内容から一部を抜粋・編集し、入社後「すぐに一人前になれるコンサルタント」と「なかなか成果を出せないコンサルタント」の違いについて紹介する。

転職後に「早く一人前になれる人」と「なかなか成果を出せない人」、差がつく意外なポイントとは?Photo: Adobe Stock

入社後の立ち上がり期間、大事なのは「自分だけの武器」

 ある人がコンサルタントとしてコンサルティングティングファームに入社した場合、「立ち上がり」の様子を詳しく追うと次のような流れになります。

・最初の1ヵ月
右も左もわからず、アウトプットする度にマネージャー(先輩コンサルタント)から事細かにダメ出しされる日々が続く
  ↓
・3ヵ月
ようやく少し勘所がつかめるようになってきてダメ出しが減る。たまにダメ出しなくマネージャーからOKをもらうことができて、少し成長を実感し始める
  ↓
・6ヵ月
ある程度のタスクを任されるようになってきて、自分の考えを一定の自信と共にアウトプットできるようになってくる
  ↓
・1年
基本的なコンサルワークは一人前としてできるようになり、より大きなタスクを任される。年齢や入社時のランクにもよるが、ひとつ上のランクのロールを担い始めたりもする

 このペースでキャッチアップするだけでも十分合格ですが、入社した人たちに話を聞く中で、通常以上の高い評価を得ている人は、早い段階で「周りから評価される武器」を見つけていることに気づきました。「武器」の種類は、人により本当に多岐にわたります。

・前職で得た知識・スキル(業界・業務・技術等の高い専門性、データ分析力、AIやアナリティクスの知見など)
・個人のケイパビリティやマインドセット(内容はともかくアウトプットがとても速い、目標達成力が高い、知的・肉体的タフネスがあるなど)
・議事録がとてもわかりやすい
・クライアント対応がうまい(誰もが苦手とするクライアントのキーパーソンの懐に初めて入ったなど)
・雑務を完璧にこなす(日程調整・会議室予約・資料の印刷など)
・なぜかいるだけでチームの雰囲気がよくなる

 後半は、やや「え?」と思われるかもしれませんが、コンサルタントはチームで動くわけですから、チーム運営を円滑にする上で決してバカにはできません。
 このような周りから評価される武器を早い段階で見つけることができると、チーム内でのプレゼンスが高まり、結果自信にもつながってやりがいを感じ、さらに思いきりアウトプットできるようにもなる……という好循環が生まれます。
 ただし、この武器はあくまでコンサルタントとしての基礎スキルがあってはじめてプラスアルファされるものです。基礎スキル習得のためのロジカルシンキングや素直さ(アンラーニング)、誠実さ(クライアントファースト)が大前提なのはしっかりと意識しておいてください。

(※本記事は、『「コンサルティングファームに入社したい」と思ったら読む本』から抜粋・編集したものです)