平成になると格安路線は「ますます不適切」に?
日経平均の推移とピタリと一致!
この格安路線がさらに“不適切”になるのが、平成に入ってからです。
90年代後半にデフレが鮮明になったことで、当時のカリスマ経営者だった藤田田社長が「これからはマクドナルドもデフレの時代だ」と宣言して、ハンバーガーの価格をわずか5年間で210円から69円に値下げしたのです。
実は昭和から令和にかけてマクドナルドの価格の推移をグラフにすると、面白いことに日経平均の推移のグラフとピタリと一致します。
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このマクドナルドのデフレを意識した2000年代の値下げ戦略は、結果として日本マクドナルドの業績に悪影響を及ぼしていきます。
藤田社長が退任し、日本マクドナルドの経営はアメリカの本社がコントロールするようになって以降、この不適切な(?)格安路線をどう是正していくのかが経営課題になります。
途中で店頭からメニュー表を廃止するなど何度か経営が迷走するのですが、2010年代に入ってからは価格ではなくバリューを全面に打ち出し、100円マックの廃止を実行しました。結果的にマクドナルドの価格は徐々に、経営の観点で見た適切なレベルへと値上げされていきます。
2023年に170円まで戻したハンバーガーの価格推移グラフを見ると、1989年当時のハンバーガーの最高値210円を突破するのも、あともう少しというところに来ているようです。
ただし日経平均と同じで、過去最高値を突破して喜ぶのは株主だけで、消費者にとっては残念な値上げかもしれません。