これだけ値上げをしても、マクドナルドの業績は好調です。値上げ後の2024年2月の日本マクドナルドの売り上げデータでは前年同月比で客数は3.2%増、客単価は2.5%増と売り上げはむしろ増えています。
「顧客離れを起こさないレベルでうまく値上げをした方が勝ち」なご時世なので、マクドナルドのこっそり値上げ作戦は不適切どころか正解なのかもしれません。
マクドナルドの価格は
「昭和の方が不適切」だった?
人気ドラマ『不適切にもほどがある!』に乗っかって説明させていただくと、マクドナルドの価格はむしろ昭和の時代のほうが不適切だったかもしれません。
それまでむしろ高価格のイメージがあったマクドナルドが格安のイメージに変わったのは、バブル期の80年代後半でした。
そのきっかけは、サンキューセットの大ヒットです。バーガーとドリンク、ポテトのSが付いて390円。このサンキューセットがバカ売れしたのです。
当時、マクドナルドのハンバーガーの単品価格は210円でした。安いどころか、むしろ高い印象だったのです。そんなハンバーガーのセットが390円で食べられるというのは、昭和のサラリーマンのおじさんたちには衝撃でした。
当時のランチ価格は600~800円ぐらいが相場でした。私が記憶に残っているのは、新宿の飲食店の経営者たちの勉強会に参加したときのことです。ランチタイムになると行列ができるマクドナルドに比べて、普通の飲食店は目に見えて客足が減りました。どうすればサンキューセットに対抗できるか一緒に考えたのですが、どうやってもあの価格に対抗できるランチは作れないというのが結論でした。