<正解>
 犯人はC

 登場人物の発言から犯人を見つける系の、よくある問題かと思いきや、判明しているのはAの発言だけ。
 BとCについては「どんな発言をしたのか」という情報がまったく存在しません。
 いっけん、情報が足りなくて解けそうにないと感じてしまいます。
 それでも、論理的に考えていけば答えを導き出せるのが、この問題の面白いところです。

判明している事実から別の情報を得る

 問題文の条件からわかるのは、以下の点です。

 “犯人はA,B,Cのうち誰か1人”
 “犯人だけが本当のことを言った”

 情報が少ない問題を考えるときの、セオリーがあります。それは、

 判明している事実から別の情報を得る

 というもの。
 たとえば今回の問題では、「犯人だけが本当のことを言った」というヒントから、

 無実の人物は嘘をついた

 ということがわかります。
 こうした隠れたルールを言語化しておくと、後々の役に立ちます。

「矛盾」を探そう

 さて、ここからは1人ずつ「犯人なら」「無実なら」と仮定していき、矛盾するケースを探していきます。
 とはいえ、発言しているのはAただ1人。
 まずはこのAが「犯人なら」と仮定して考えてみます。

 その場合、「犯人だけが本当のことを言った」という条件から、Aの「犯人はBです」の発言は真実だということになります。
 ですがそれでは、AとBの2人が犯人ということになり、「犯人はA,B,Cのうち誰か1人」という条件と矛盾します。
 よって、Aが犯人ということはありえません。

 ここで思い出してほしいのが、先ほど言語化した「無実の人物は嘘をついていた」という隠れたルールです。
 つまり、無実だと判明したAの「犯人はB」という発言は嘘だということ。
 Aも無実で、Bも犯人ではない。

 よって、犯人はCです。

「思考」のまとめ

「犯人だけが本当のことを言った」というヒントから、「無実の人は嘘をついた」という条件が導き出せるかがポイントでした。
 ひとつの情報も、「そこから言えることは?」と考えていくと、新たな事実が見えてきます。
 発言が1人分しかないのに、3人の正体が即座にわかってしまう。
 トリッキーで面白い問題でしたね。

 ・たったひとつの情報も、見方を変えると別の情報が得られる
 ・情報の逆や反対を考えてみると、別の法則が見つかる

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター
論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者。ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1,500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。