約1年前にも起きていた
郡山駅での「つばさ」のトラブル
東北新幹線では近年にも、2014年2月に東北新幹線盛岡発東京行き「はやて102号」が雪の影響でブレーキが利かず、新花巻駅で300メートル過走。2022年12月17日には「つばさ159号」が今回と同じく郡山駅下りホームで160メートル過走している。
今回の「つばさ121号」と2022年当時の「つばさ159号」は、「やまびこ」と併結せず、「E3」系車両(7両編成)が単独で走行する列車という共通点がある。詳しくは調査結果の公表を待ちたいが、1年強の間に同駅かつ同種のトラブルが発生したのは気になるところだ。
JR東日本は2022年のオーバーラン以降、E3系が単独走行する「つばさ121号」に、「やまびこ」に使われるE2系を非営業列車として併結しブレーキ性能を補う暫定対策を行ってきたが、昨年秋にE3系のブレーキ改修が完了したことを受け、今冬は併結していなかった。
だが再度、しかも前回をはるかに上回るオーバーランが発生した事実は重い。これを受けて6日夜以降のE3系単独運転の「つばさ」には急遽、E2系が連結されており、一連の対策・対応が十分だったか再検証する必要があるだろう。
さまざまな状況を想定し、安全対策を講じていても、必ず「セキュリティホール」は存在する。人的被害がなかったという「幸運」を逃してしまえば、次こそは取り返しのつかない重大事故につながるだろう。
どの事業者であっても安全性向上の努力が重要なのは言うまでもないが、経営のトッププライオリティに「究極の安全」を掲げながら、昨年から何かとトラブル続きのJR東日本は、より一層、真摯(しんし)に、かつ危機感を持って対策に臨んでほしい。