推し活ビジネスは新しいビジネスの形
つまり、ビジネスに推しを持つということは、一昔前のように企業側が「機能的価値を与えることで人々と繋がる」というビジネス構造ではなく、「感情的価値と人々の行動力で繋がる」という新しいビジネスの形を意味するのである。
「感情的価値」で繋がった人々は、簡単に他の競合他社に乗り換えることもなければ、ビジネスの機能的価値が変化しても「支援者・応援者」としてとどまってくれる可能性が高い。また変化する社会に企業側が追いつけない時や気づけない時や自分たちのビジネスを俯瞰する時、「人々の行動力」は様々なアドバイスと活用法を教えてくれるのだ。
ファンマーケティングとの違いは、彼らがより「行動力」という側面を強く持つことで、時にビジネスの運営者としての役割を強く持つことである。彼らは時にアドバイザーとして、広報の担当者として、ビジネスを「生産・運営」する実務を積極的に担ってくれる。
だからこそ、より「自走式」で「自律性」の高いビジネスとなり、高い持続性に繋がるのである。
ファンマーケティングは、「ビジネス」と「人々」の繋がりをつくる。一方で「推しマーケティング」は、ビジネスに集まった「人」と「人」の繋がりを大きくさせ、集団として、コミュニティとしての強さを持ってビジネスに関わってくれるのだ。
希少性を高めるための「コラボ企画」の注意点
あなたのビジネスが置かれる市場は、必ずと言っていいほど競合他社が存在する。消費者にとって様々な選択肢があった時、「あなたのビジネス」が選ばれるために重要なことの一つがコンテンツの「希少性」である。
希少性を高めるための施策については、自身のプロダクトやサービスと親和性の高いキャラクターやアーティストの力を借りる「コラボ」も一つの手法である。こうした「コラボ」は、ある意味ビジネスの新しい側面を伝えられるわかりやすい方法であるといえるだろう。
ただ、ここで大切にすべきポイントは、「相互作用」が働くかという点である。多くの場合、コラボ先となる相手には、すでに「推し」や「ファン」が多く存在している場合が多い。だからこそ、「彼らを使うことでいかに自分たちの商品やサービスが特別になるか」だけではなく、そのコラボ相手を好きな人たちが「このビジネスとコラボしたから見れた推しの新しい一面がある!」「このビジネスとコラボしたことで自分の推し活の幅が広がった!」といったポジティブな「希少性」の側面をしっかりと感じ取れる企画・内容であるかを気に掛ける必要があるのだ。