コラボ企画の失敗例と成功例
ここでは、コラボにおける失敗例と成功例をそれぞれ見ていく。
ある時、大人気アイドルグループのメンバーがシャンプーのCMをしていた。起用されていたメンバーのメンバーカラーは赤。しかし、シャンプー会社がシャンプーに付けたおまけのバッチの色にオレンジが使用されており、「買う気がなくなった」と語った知人がいた。よく話を聞いてみると、「推しが使われている気分になった。起用すれば、おまけをつければ、人気が出るんでしょ?といった会社側の意図を感じてしまった」という。
逆に成功した例には、2023年4月から展開された「ホットペッパービューティー×推しの子 #推し髪で行こう!」キャンペーンがある。これは、大人気アニメ「推しの子」のキャラクターであるアクア、ルビー、有馬かなが「ホットペッパービューティー」のCMモデルを目指し、オーディションに参加するというストーリーのもと、アニメシリーズでは見られない三人のヘアスタイル候補をユーザーに提示。投票により、彼らが出演するWebCMのヘアスタイルを決定するというものである。

瀬町奈々美 著
アニメの放送時期やアニメの文脈を重要視するだけではなく、人気キャラクターたちの「ここでしか見ることのできないヘアスタイル」を実現。ユーザーの投票で人々の参加を仕掛けたこの企画は、「彼らのヘアスタイル決定」の情報解禁後わずか1時間で5000リツイート、1万2000いいねが付くという結果になった。また、担当者によると「素敵な企画をありがとうございます!!どのキャラの髪型も素敵で、今度ホットペッパービューティーで予約して美容院行ってきます」といったコメントが多く寄せられたという。
このように、コラボを使った「希少性の最大化」においては、自分のサービスや商品、そしてコラボ先の「推し」「ファン」の人たちの三方を気にかけた「希少性」を生み出すことを重要視しなければいけないといえるだろう。