台湾TSMCと米インテルが2月に開催したイベントは、AI用の半導体製造を巡る覇権争いの号砲だ。TSMCはリードを保てるのか。インテルは追い付くことができるのか。特集『TSMCvsインテル AI半導体決戦』(全6回)の#2では、半導体の先端技術戦略から、勝敗を左右しそうなパートナー企業の七大エコシステムまで、2社の戦いの最前線に迫る。(台湾「財訊」林宏達、翻訳・再編集/ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
高成長につながるAIと低炭素経済
最先端技術の投資を続けるTSMC
米インテルが2月に同国サンノゼで開催したカンファレンスは、半導体製造におけるリーダーシップを獲得するための戦いの始まりだ。同月に開所式が行われた日本の熊本工場は、台湾TSMCが国際化するための新たなステージだ。
インテルとTSMCはいずれも、今後の半導体開発に向けて、AIと低炭素経済に注目している。なぜなら、これが高成長市場につながる“バズワード”だからだ。
現在、TSMC は依然として台湾で最先端のプロセス開発に注力しており、強化し続けている。2023年7月には台湾・新竹にTSMCのグローバルR&D(研究開発)センターが正式オープンした。新竹県宝山の2nmプロセスの工場は今年4月に製造装置が搬入され、年末までに試験生産を開始する予定だ。高雄工場も2nmプロセスを採用する予定で、嘉義県や台中市中部科学園区の第2期計画では、1.4nmプロセスの新工場も検討中だ。
しかしこれからより重要になってくるのは、半導体の高度な先端パッケージング分野だろう。