勝丸 ドイツで使われていた通貨「マルク」の呼称に似ている「ダルク」という名前が出てきたのはユニークでした。

遠藤 「マルク」と「ドル」を合体させました。地名とか、建物の名前も実際にあるところをもじることが多いですね。ただ、記憶力がかなり悪いので、あとから「この地名、どこから取ったっけ?」といったことがよく起こります(笑)。

勝丸 専門家による時代考証や情報機関に関する監修などは入っているのでしょうか?

遠藤 そういった細かい設定などは基本的に全部ひとりで考えています。

勝丸 リアルの部分がしっかり構築されているので、国際政治の専門家などが監修として入っているものだと思っていました。

遠藤 読者の中にも時代状況などをかなり深読みしてくださる方がいるんですけど、そこまで深く考えて描いていないんですよね。あくまで「ウェスタリスとオスタニア」という架空の国ですよ、と。

世界最強の情報機関
CIAは何がすごいのか?

勝丸 『SPY×FAMILY』には「アーニャ」とか、「ユーリ」など、ロシア語圏の名前が出てきますが、向こうのスパイは結構アナログな手法を使うんですよね。例えば「フラッシュ・コンタクト」といって、人と人がすれ違う瞬間に文書を渡したり、「デッド・ドロップ」といって、約束された場所に文書を隠して、後から仲間がそれを拾いに行くという伝達方法があります。ものすごく効率が悪い方法なのですが、通信傍受がされないという観点で、安全性が高いと判断することがあります。

『SPY×FAMILY』作者に聞く「漫画だからできること、アニメではできないこと」『SPY×FAMILY 1』より抜粋

遠藤 今でもそんなアナログなんですね!たしかに、テクノロジーが発展して何でもデジタル化された今、逆に安全だったりするんですかね。海外にはMI6(英の秘密情報部)とか、CIA(米の中央情報局)などがありますが、日本にもそうした特徴を持つ機関はあるわけですよね。