ユニクロのセルフレジは、全ての商品に電子タグ(RFID)が導入されており、カゴに商品を放り込むだけで、手作業でのスキャンも不要であり、購入商品が一括表示され、スムースに支払いへと進める。

 このソリューションはユニクロがアパレル製造から販売までを一気通貫で手掛けているからこそ実現できるものだが、今後は他業種でも製造業/卸売業/商社/小売業を巻き込んだ取り組みに期待したい。

 また地方都市や郊外のロードサイド店などでは、ショッピングカートとスキャン機能が一体化した「スマートカート」の導入も進んでいる。特に、会計ゲートを通ることで自動的に決済が行われるタイプは、利用者の評価が高い傾向にある。とはいえ、ゲート通過時に店員による購入商品をチェックするオペレーションは残っており、この点は今後改善の余地があるかもしれない。

顧客がメリットを感じる
購買体験の変革がポイント

 スマートカートは将来、省人化に留まらず、顧客に最適化された商品推奨やキャンペーンの表示など、企業と消費者の1to1マーケティングのインターフェースとして活用が進む可能性がある。

 小売店舗における省人化技術は、人口減少社会にいち早く突入した日本だけでなく、多くの国・地域において、より重要な役割を果たしていくであろう。

 省人化技術が真に利用者に浸透していくには、店舗側の作業を顧客に委ねるだけのソリューションではなく、顧客購買体験を起点とした設計や開発が必須だ。

(フロンティア・マネジメント シニア・ディレクター 藤本隆志)