グルメ雑誌「ガンベロロッソ」の評論家は、スタバの進出は、味も、対応も劣化していた国内のやる気のないバールへのよい教訓になると呟いたが、ある専門家は、スタバは、並みのエスプレッソを基調にシロップとミルクを大量に使ったアメリカ好みの甘い飲み物を世界展開するモデルに過ぎず、恐れるにはあたらないと強気だった。

 中には、「イタリア人として、本国へのスタバの進出は屈辱的だと考えている」とまで書いた新聞記者もいた。

 しかし、農業経済に通じたジャーナリストのルチアーノ・カポーネは、長年、スタバがイタリアになかったことは、「私たちのバールでの仕事の生産性が高く、コーヒーの質がよく、低価格であること」と同時に「それが小さな家族経営のビジネスの典型例であり、職人から管理者への移行に苦労していること」を同時に示していたと指摘した。そして、スターバックスの上陸は、イタリア経済の構造的な問題について考える機会を与えてくれるだけでなく、シュルツが繰り返し口にする「謙虚さ」は、イタリア人へのよき教訓でもあると皮肉った。

 さらに彼は、近い将来、スターバックスは、イタリアから、おいしいエスプレッソやカプチーノを学ぶことだろう。だが、果たしてイタリアは、スターバックスから、グローバル・チェーン店を生み出す方法を学ぶのだろうか? という問いを投げかける。

 それから、短い評をこんなふうに結んでいる。

“最終的に、世界の他の国々は、コーヒーやピッツァが、スターバックスやピザ・ハットのそれではないことを見出すことになるのではないだろうか。”