無線LANと3Gモデムに対応した「CEREVO CAM」。2.4インチモニター搭載で、画素数は900万画素。本体カラーはホワイトとブラックの2色がある。 |
今や「一家に一台」といっても過言ではないほどに普及したデジタルカメラ。カメラ屋さんに現像をお願いしていた頃に比べれば、格段に写真を身近なものにしたと言える。
それでもPCに取り込む作業は案外と面倒くさいもの。ついつい溜め込んでしまって、肝心なときに「カードがいっぱいです」なんて表示されてがっくりした経験もあることだろう。
そんな使用時のストレスを軽減してくれそうなデジカメが登場した。家電ベンチャー「CEREVO(セレボ)」が発売した「CEREVO CAM」である。
「CEREVO CAM」がスゴイのは、無線LANモジュールを内蔵しており、撮影した写真を自動的にネットにアップロードしてくれるところ。
これまでも、無線LANに対応したSDカードなどが存在したが、「CEREVO CAM」の新しい点は、わざわざカメラの電源をオンにしなくてもアップロード可能なことだ。撮影後、カバンの中に入れっ放しにしておいても、知らぬ間に写真がアップロードされているというわけだ。
また、イーモバイルをはじめとする3Gデータ通信用モデムにも対応しており、無線LAN環境のない外出先などでは、こちらを利用して写真をアップロードすることも可能となっている(別途イーモバイルなどとの契約は必要)。
3Gモデムの場合は、「ライブアップロード」機能を使用すると、撮影した写真を即座にアップロードでき、撮影した写真をすぐにブログで発信することも可能だ。
アップロードした写真は、同社が用意した専用サイト「CEREVO LIFE」に蓄積されていく。転送された写真は自動的に削除されるが、サムネイル(縮小画像)はカメラ内に残る仕組みだ。
同サイトは無償でユーザーに提供されていて、撮影間隔が6時間以上空いた場合、アルバムを分割して作成してくれるので整理もし易い。またトリミングやモザイク処理といったレタッチ機能も、ブラウザで行なうことができる。
ありそうでなかったユニークな機能を実装している「CEREVO CAM」だが、その誕生の軌跡も注目に値する。
「CEREVO」は、元大手家電メーカー社員だった岩佐琢磨氏が2007年に立ち上げたベンチャー企業。ただし、岩佐氏はそれ以前から人気ブロガーとして活躍していた人物であり、ブログを通じて培った人脈が「CEREVO CAM」誕生の礎となった。
一般に、莫大な初期投資を必要とする家電分野へのベンチャーの参入は、困難を極める。それでも「CEREVO CAM」が日の目を見た理由は、“ネット家電”に関して言えば、大手メーカーもまだ開発途上にあるという業界事情によるところも大きいだろう。
場合によっては、小回りの利くベンチャー企業のほうが、革新的な製品を世に出せる可能性を持っているということだ。
ちなみに「CEREVO」という社名は、「Consumer Electronics」(家電)を「Revolution」(革新)するという思いを込めた造語だという。「CEREVO CAM」だけではなく、ブロガー発のチャレンジの行方にも注目していきたいところだ。
(中島 駆)