東 新幹線は戻すしかないでしょう。リニアはこれを好機と工事を中止するかもしれませんが。

養老 都内のビルだってどのくらいもつかわかりません。震度7の地震が一度しか来ないとは限らないわけで、二度三度来たときに、本当に耐えられるのか。

 被害によっては、いまのような生活を続けるのは無理になります。小さな自給自足の集団を日本中に置いていくしかない。でも島根県や鳥取県の可住地面積あたりの人口密度がヨーロッパと同じくらいで、日本では過疎と言われている地域でも世界基準で見たら標準です。つまり人口もかなり減らないと、小さな自給自足の社会はやっていけないかもしれない。

東 その通りだと思います。しかし、そうなってしまうと、強い隣国に依存することになりそうです。たとえば中国。

養老 外側で見るとそういうことになりやすい。どのくらい金を必要とするのかにも関係してきます。

天災で壊滅した日本は
中国の「属国」として生まれ変わる

東 現実的に考えても、人も減り、金もなくなり、小さい社会しかないという状況になったら、外国人がどっと移住してきそうですが……。

養老 そうですね。食料がない、エネルギーがない、となったら買わなければなりません。それが今年のように食糧難だ、エネルギー不足だ、円安だというときだと余計にお金がかかる。そのときに大きな額を日本に投資してくれる国があるとすれば、アメリカは時間がかかるでしょうから、おそらく中国です。

東 つまり、すごく要約すると、日本は天災によって実質壊滅し、中国の属国になることによって新しく生まれ変わるしかないのではないか、というのが養老さんのお考えでしょうか。

養老 そうですね。つまり属国とはなにかという問題です。中国の辺境は昔からたくさんあったわけで、今でも中国がないと成り立たないという状況を作ってしまえば、それは中国の一部であるのと同じことですから。政治的にどうレッテルを貼るかの話でしかない。

東 いまはそういう意見は反発が大きいかもしれませんね。