「忙しすぎて本を読む時間がない」「1冊読み切るのに時間がかかる」「読んでも読んでも身につかない」――そんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。本を読めばいいことはわかっているのに、自主的に読めない人もいるでしょう。
何の本をどう読み、どう活かしていくか――働くうえで必携のビジネススキルを良書から抜き出したのが『ひと目でわかる! 見るだけ読書』。本書は、コスパやタイパを重視する現代的な読書スタイルを重視する人にとっても、魅力的な読み解き&活用法です。たった「紙1枚」を見るだけで本の最も大事なポイントが圧倒的なわかりやすさで理解でき、用意したワーク1枚を埋めるだけで即スキル化できる1冊。それも1万冊の読書体験と1万人を教えてきた社会人教育の経験から、絶対に読んでほしい24冊+αを紹介。ただ、エッセンスをまとめただけでなく、読後には、紹介した本が有機的につながっていく仕掛けがあなたのビジネススキルを飛躍的に向上させます。
高められた楽しみで成長へのモチベーションを燃やす
「私はそもそもエネルギーレベルが低く、体力のないタイプです……」
「1つのことに集中できず、すぐ注意散漫になってしまいます……」
「どうすればもっと没頭できるようになるのでしょうか……」
という人は、成長し続けるためのガソリンをどうやって充填していくか。先にキーワードをヒトコトで言ってしまうと、「没頭」です。
「没頭」しているとき、人はいくらでも頑張れるという心境になれます。時間の感覚は曖昧になり、疲れを感じることなく集中して取り組むことができる。
この状態で働ければ仕事のパフォーマンスや生産性も最大化できますので、以前から「どうすれば没頭できるか?」についての研究が多数行なわれてきました。
その中でも有名な本として、今回は「ポジティブ心理学」と呼ばれる学問を創始し、シカゴ大学やクレアモント大学院大学の教授でもあったチクセントミハイによる『フロー体験入門』を取り上げます。
まずは次の「1枚」をご覧ください。
人間の「精神状態=メンタルステートメント」について4象限で整理したものです。書籍の中では8つに分けられていますが、「1枚」フレームワークにトレースする際、4つにまとめ直して簡略化してあります。
この「1枚」を見ながら、次の引用文を読んでみてください。きっとすんなり意味が了解できるはずです。
整理すれば、私たちは「没頭=フロー状態」(と今回はシンプルに定義しておきます)に入ることで加速的に成長できるわけですが、その条件は「チャレンジングだが決して不可能ではない題材に取り組むこと」です。
それと、もう1つ別の観点から、自身が没頭できる対象を自覚するヒントについて学び取れたポイントがありました。
『フロー体験入門』には、こんなことも書かれています。
この引用文を挙げた理由は、「趣味のほうがフローに入りやすい」「スポーツは特によい」「活動的ならゲームでも構わない」といったことを言いたいからではありません。重要なのは、「高められた楽しみ」という独特な言葉です。
これは「能動的に、主体的に、自らの意志で積極的に楽しみにいく」といった意味だと解釈してみてください。要するに、「受け身で、ただ漫然と取り組んでいるうちはフローには入れない」ということです。
たとえば、ディズニーランドやUSJに行って、あるいは何らかのエンターテインメントに触れてただ「楽しませてもらっているだけ」では受動的であり、能動的に「高める」要素がありません。
一方、夢中になってアトラクションのバックストーリーを調べたり、モチーフになっている作品を片っ端から鑑賞して味わったりするのであれば、その楽しみは高められたものへと変貌していきます。
仕事も同じで、指示待ちで受動的に働いているうちは、没頭モードに入ることができません。
自分なりに調べたり、能動的に考え、工夫したりするなかで、私たちは自身の担当業務に「高められた楽しみ」を見出すことできる。その過程で没頭するからこそ、疲れを忘れていくらでもその仕事について極めていくことができるわけです。
没頭の度合いによって成長の質やスピードが決まってしまう以上、最後はどれだけ自分が仕事や探求しているテーマに「好奇心」を見出して過ごせているか。
この点に関して、ぜひ今回をきっかけにじっくり向き合ってみてください。
『ひと目でわかる! 見るだけ読書』は、パッと見るだけの圧倒的なわかりやすさで、名著の本質が分かる1枚シートに加え、著者の用意した1枚ワークを埋めるだけで、読み返しがいらなくなるほど、名著のエッセンスが一読で身につきます。ぜひ、活用してください。
(本原稿は書籍『ひと目でわかる! 見るだけ読書』の一部抜粋、再編集したものです)