ダイハツは、23年12月、量産に必要な「型式指定」を得るための認証審査に174件の不正があったと公表した。その結果、国内での生産・出荷を全面停止する事態となり、「ダイハツブランド」が大きく毀損(きそん)することとなった。親会社のトヨタはダイハツ立て直しに向けて、3月1日付でトップ交代を含む新経営陣に体制を刷新しており、再発防止に向けた新経営方針を4月に発表することになっていた。
今回明らかになった「軽を中心としたモビリティカンパニーへ」という新経営方針により、「ダイハツは軽自動車に専念する」というトヨタグループでの位置付けが明確化される。
ただし、不正でダイハツブランドの信用・信頼は大きく毀損しており、軽自動車に専念するからといって、その販売をすぐに回復させるのは容易なことではない。
先に発表された23年度(23年4月〜24年3月)の軽自動車新車販売台数で、ダイハツは18年ぶりに首位から陥落した。ダイハツの販売台数は44万3694台、前年同期比22%減となり、スズキの55万2251台、同7%増に大きく引き離された。特に、1〜3月のダイハツの販売台数は前年同期比74%減と全面生産停止が大きく影響した。
ダイハツとスズキは常に軽自動車首位争いを続けてきたが、今回はダイハツの“自滅”による首位交代となった。「出荷停止で売る車がない上に、信頼・信用が低下したことで、販売現場を回ってお叱りを受けた。なんとか回復の道を目指したい」(井上社長)と、販売店現場から厳しい声も上がっているようだ。