また、「軽を中心とするモビリティカンパニーへ」を掲げるならば、新生ダイハツの大きなテーマとなるのが、やはり軽自動車のEV開発だろう。特に、ダイハツのカギを握るのは軽商用車BEV(バッテリーEV)だ。

 ダイハツはトヨタグループの商用車連合(CJPT)において、トヨタ・スズキと共同でBEVの商用軽バンを開発し、3月にも発売する計画であった。しかし、不正発覚により2月にダイハツがCJPTから脱退したことで、ダイハツとスズキの両ブランドで市場投入することになっていたこの商用軽BEVは、宙に浮いた形となってしまったのだ。

 ダイハツ工業の井上新社長は会見で、この商用軽BEVの開発再開について言及した。「今後のダイハツのカーボンニュートラル戦略にとって非常に重要で、将来は挑戦していきたい」。とはいえ、この商用軽BEVはすでに実用化間近となっていた経緯もあり、ダイハツが早期に“みそぎ”を済ませてCJPTへ復帰し、市場投入の道筋を開くことが望まれることになるだろう。

不正の背景に
親会社の意向?

 今回のダイハツの認証不正は、第三者委員会の認定では174件にも上った。また、軽自動車でスズキからシェアトップを奪還し、トヨタへの車両供給が増えた2014年以降に不正が広がったとされている。一連の経緯を見ると、やはり不正の背景には親会社の意向に沿おうと無理を重ねた実態があるのだろう。