2.過剰摂取の重大なリスク
栄養補助食品であるサプリメントは、あくまでも食品。薬のように、痛みを緩和したり、病気を治したりする効果が期待できるものではありません。それゆえ、誰もが自由に購入できますから、気楽に摂取することができます。しかし、サプリメントには摂取したい栄養素以外の成分が入っていることがほとんどです。数種類のサプリメントを併用している場合には、それぞれの一日当たりの摂取上限を守っていても、知らずに同じ成分を二重に摂ってしまうことになりかねず、それが栄養素の過剰摂取に繋がってしまいます。
過剰摂取がなぜいけないかといえば、重大な疾病を招く可能性があるからです。例えば、カルシウム。適量を摂るのは良いことですが、大量に摂ると、 高カルシウム血症・高カルシウム尿症・軟組織の石灰化・泌尿器系結石・便祕を起こすこともあります。また、血液サラサラ効果があるEPAですが、こちらも過剰に摂ってしまうと、血を固める成分を疎外しますので、出血しやすくなったり、内出血が止まりづらくなったりするリスクがあります。健康に様々な効果があることが実証されていても、やはり、摂り過ぎの弊害はあるわけです。
特に薬を飲んでいる人は、必ず医師に相談を。薬の効果を邪魔する成分が入っていることもありますし、薬と同じ成分を重複して摂取してしまう可能性もあります。
また、見過ごせないのは肝臓と腎臓への影響です。先日も、患者さんで肝臓の数値が急に上がった方がいたのですが、よくよく聞いたら、6種類くらいのサプリメントを飲んでいるということが分かりました。
口から入って来た食べ物の毒素を分解し、老廃物と共に体外に出す機能を持つ臓器は肝臓と腎臓です。「最も重要なこと」という意味を持つ「肝心(腎)」は肝臓と心臓・腎臓から来ているといわれていますが、それほど大事な臓器なのです。肝臓は便、腎臓は尿を作るために、日々、必死で働いてくれているのですが、入ってきたものが過剰であれば負担になります。毒素を分解、濾過する処理量が追いつかなくなると臓器障害が起こるのです。そんな大変な目にあわないために、サプリメントの摂取目安量や注意事項は必ず守りましょう。また、調子が悪くなったら、即刻、飲むのを中止してください。
サプリメントは大量に飲めば、それだけ健康になるということはなく、それどころか不健康になることもあります。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」は健康食品についても言えることです。