すると、十分なインスリンは出ていても効きが悪いので、血糖値を下げるためにさらにインスリンを分泌するよう、体は命令を出します。血液中のインスリン濃度は上がり、糖はどんどん脂肪細胞に取り込まれ、より内臓脂肪が蓄積してしまうという悪循環に陥ります。

 これを長期間にわたって繰り返していると、そのうちに、インスリンを分泌する膵臓のβ細胞が疲弊して、インスリン分泌のタイミングが遅れるようになるとともに、分泌量も減っていきます。

今ならまだ引き返せる!?
糖尿病の進行を知ろう

 糖尿病には3つのステップがあります。

【第1ステップ】
 食後の追加分泌のときにインスリンが出るタイミングが遅れる。→血糖値が高い時間が増えることでHbA1cが上がる。

【第2ステップ】
 インスリンの分泌が遅れるうえに分泌される量も減ってくる。→HbA1cに加えて、空腹時血糖値も上がってくる。

【第3ステップ】
 膵臓のβ細胞が疲弊してインスリンを出せなくなる。→常に血糖値が高い状態のまま下がらなくなる。

 第1ステップは、食後の追加分泌のときにインスリンが出るタイミングが遅れるようになる段階です。インスリン抵抗性があってインスリンが効きにくい場合や、食べ過ぎて血糖が上がった場合、また、運動不足が続いて糖が燃料として使われず、血中に余った場合には、インスリンが余計に必要になります。

 こうした生活を長期間にわたって続けていると、食後のインスリン分泌が追い付かなくなり、食後に血糖が上昇してもすぐにはインスリンが分泌されない「分泌遅延」の状態になります。これがいわゆる「食後高血糖」です。

 インスリンの分泌が遅れることで、血糖値が高いままの時間が増え、その間に糖は血中に流れる物質にくっついてしまうのですが、その1つが赤血球に含まれるヘモグロビンです。これを利用して測定しているのがHbA1cで、血液中のヘモグロビンにどれくらい糖がくっついているかの割合をパーセントで表しています。食後高血糖が続くと、まずHbA1cが上がってきます。これが第1ステップです。