甘い果糖液糖には要注意
醸造酒よりも蒸留酒を

 この段階にある人は、膵臓に負担をかけないことが何より大切です。Cさんは、必要な量だけインスリンが分泌されているのにその効果が発揮できない、いわゆるインスリン抵抗性の状態にあるので、体は「もっと分泌しなさい」と膵臓に命令しています。

 したがって、Cさんはインスリン抵抗性を解消することが何より重要で、そのためにはまず内臓脂肪を減らす必要があります。インスリンがきちんと効くようになれば、膵臓のβ細胞は楽になれます。

 話を聞いてみると、Cさんの食生活は「缶チューハイ」に問題があるようでした。コロナ禍で外に出る機会が少なくなって身体活動量が減っている中、家飲みで缶チューハイの量が以前より増えていたのです。

 ご存じのように、缶チューハイには「果糖ブドウ糖液糖」が入っている場合が多く、銘柄にもよりますが、350mLの缶に糖質が10gくらい入っていたりします。

 毎晩2缶飲むと、糖質は20g、スティックシュガーでいえば7本分を毎晩とっていることになります。しかも缶チューハイは炭酸が入っていて吸収がいいので、より血糖値が上がりやすいという特徴があります。

 また、果糖は尿酸値を上げる作用もあります。実際、Cさんは尿酸値も基準値の上限(7.0mg/dL)ギリギリまで上がっていますよね。尿酸というとビールのプリン体を気にする人が多いようですが、チューハイに含まれる果糖も要注意です。

 ビール、日本酒、ワインなどの醸造酒はそれ自体に糖質が入っています。手ごろな値段の発泡酒はビールよりも糖質が多いこともあるので注意しましょう。余分な糖質をとらないためには、蒸留酒で甘くないハイボールなどを選んだほうがいいと思います。

【このケースからわかること】
・内臓脂肪が増えるとインスリンが効きにくくなり、放置すると糖尿病につながりやすくなる。
・空腹時血糖値もHbA1cも上がってきたら、糖尿病に至る3つのステップの第2段階にある。
・第2段階は、本当の糖尿病になるか、元に戻れるかのわかれ目。インスリン抵抗性を解消すること、つまり内臓脂肪を減らすことが重要。