仏教の「精進」は「勇敢さ」の意味
「六波羅蜜」と「八正道」でも重要視

悪い所をなくす、善い所を増やす同書より転載

「精進」とは、一般的には懸命に努力することを言いますが、梵語のヴィーリヤの漢訳で、意味は「勇敢さ」や「悪を断つためのたゆまぬ努力を続けること」です。仏教ではお経の中で「精進」という言葉がたくさん出てきます。

 お釈迦様の伝えた六つの彼岸に達する方法である「六波羅蜜」のうちの四番目が「精進」で、ここでは「努力」を指します。俗縁を断って仏道に入り仏教を学び目標を達成するには、勇気や継続するための努力が必要なのです。

 お釈迦様は正しい努力が何で、何を頑張ればいいのかを、仏教の実践修行である「八正道」の六つ目、「正精進」の中で定められています。「正精進」における努力とは、「悟りへの道を妨げる悪を断って、悟りへの道を進める善を励むこと」です。

 具体的には「まだしていない悪いことはしない」「今もっている悪いところをなくす」「まだしていない善いことを始める」「今もっている善いところを増やしていく」です。これを「四正勤(ししょうごん)」と言います。

「悪いことはしない、よいところは伸ばす、努力が大事、続けることが大切」って、今の日常でも言えることですよね。「精進」って仏教修行に限らず、毎日をつつがなく、幸せに暮らしていくためにも必要なことなのだと思います。