「衆生を救うため仏が悟りを開く」
仏教における「出世」の本質を探る

この世に出現した仏様同書より転載

「出世」とは仏教語の「出世間」の略語です。世間や世俗から離れた仏道のことを言います。仏道を目指す人や僧侶のことを「出世者」と呼び、「出世間」や「出世者」が略されて「出世」と言われるようになりました。

「世間」は梵語のローカの訳で、「世の中や迷いの世界」のことです。つまり、「世俗世間」のことです。

「出世」は仏教では、「衆生を救うためにこの世に仏が出現して悟りを開き、人々を導く」という意味があり、そこから、僧侶がしかるべき僧位についたり、大きなお寺の住職になることを「出世」というようになりました。

 それが転じて一般的に会社や組織の中で成功して然るべき地位や肩書がつくことも「出世」と言うようになったそうです。ちなみに、俗世を離れた仏が衆生を導くために、再び「出世間」から世間や世俗に出ることを「出出世間」というそうです。

 仏教では世間や世俗から離れて仏道に入ることで出世するのに対して、今の時代では世間や世俗に入っていくことで出世という道に入るのですから、なんか面白いですよね。

 もし職場で出世することばかりにこだわって人間関係や物事がうまく回らないときは、本来の「出世」の意味を思い出してみるのもいいかもしれません。迷いがある場所を出れば、気持ちが救われることもたくさんありますから。