企業がVTuberを起用する訳

 これまではYouTubeなどを中心に動画配信をすることが主な活動だったVTuberだが、認知度拡大に伴って活躍の場を広げ、事業会社とのコラボなどが活発化している。先述のライブコマーだけではなく、Googleが販売する「Google Pixel Fold」のCMでは、Vtuber事務所の「にじさんじ」に所属するVtuberが起用されるなど、活躍の場を広げている。

生身の有名タレントより「VTuber」の時代!?ECの販促“知られざる激変”の実態とは?生身の人間とのコラボもますます増えていく?

 企業がVtuberの起用を進める理由としてはVtuberが熱量の高いファンを抱えていることが挙げられる。

 多くのVtuberは動画配信プラットフォームを主戦場にしている。その中でも、ファンとのコミュニケーションが活発になる生配信などを積極的に実施、長時間にわたり双方向的なコミュニケーションを展開することで熱量の高いファンを抱えるようになった。

 先述のライブコマースにおいては、時間を使って配信を見てくれることが前提となる。そのため、常日頃から生配信をしていて、熱量の高いファンを多く抱えるVtuberとの親和性が高いのだ。

 加えて、“キャラ”であり“人”であるバランス感も活用を広げる理由だと考えられる。Vtuberはバーチャルな存在で独自の個性や特徴を持つキャラクターを作り上げることが可能といった側面と、行動やリアクションなどの人間的な側面があるのである。

 これによって、アニメ単体では生み出しにくい共感性や、人物単体では作り出せない世界観が上手く融合し、相乗効果を生み出している。独自性が高く多様なビジュアルのVtuberがいるため、様々な商材がある中で、親和性の高いキャラクターを選びやすいというのも企業が起用しやすい理由の一つだと考えられる。

 最後に、バーチャルゆえに生身のタレントが抱えるスキャンダルリスクなどが少なく、契約料等の諸費用も低く抑えられるのも強みの一つだ。今後も企業との取り組みによる活躍が期待されている。