空気を読まずにひた走る
予定調和を無視して大成功

 30万部のベストセラー堀江貴文の『多動力』をマンガ化したときも、通例は全部無視。ビジネス書のマンガ化は大体フォーマットが決まっている。オフィスが舞台で主人公はOL。そんなことをしてもおもしろくもなんともない。一冊も売れなくてもいいから無茶苦茶なことしたい。

「無人島を舞台にするしかない」と思いついた僕は、最後までホリエモンに見せることなく作った。事前に相談していたらこんな意味不明なアイデアは却下されるかもしれない。予定調和を打破するためには黙ってやるしかなかった。結果は大成功だった。

 格闘家・青木真也。相手選手の骨を折り、動けなくなった相手の目の前に中指を突き立てる。傍若無人。問題児。「いつかこのクレイジーガイの本を作りたい」。僕の想いは著書『空気を読んではいけない』として実を結んだ。青木真也といえば、格闘技好きの間では有名人だが、格闘技ブームが去った今、1万部売れれば奇跡だ。売りようがない中、青木真也と僕はゲリラサイン会を計画した。ツイッターで「サインほしい人がいたら〇〇書店で本を買って店の前に来てくれ!」と呼びかけた。

 しかし本屋から幻冬舎営業部にクレームが入った。サイン会の問い合わせが店に来て混乱を招くというのだ。「サイン会をやる場合は、事前に申請を」と言われたが、事前に攻撃しますと宣言するゲリラ兵などいてたまるか。僕は答えた「申し訳ないのですが、本のタイトルは『空気を読んではいけない』ですよ」と。本屋さんには迷惑をかけてしまったが、新聞記者がおもしろがり、ゲリラサイン会を大きな記事にしてくれた。新聞というのは不思議な権威があり、ゲリラサイン会は市民権を得て次第に大きな現象になっていった。『空気を読んではいけない』は格闘技本の常識を覆し、3万部のスマッシュヒットとなった。

「上司に許可を求めながら歴史に名を残した人はいない」(『トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦1ブランド人になれ!』CCCメディアハウス)。

安全安心から破壊せよ
それが僕のポリシー

 人はこの世在らざるものを見たい。この世在らざるものを生み出すためには安全安心を守っていたらいけない。

 ある日飲みの場でホリエモン(堀江貴文)から「明日カルロス・ゴーンに会いに行かない?」と誘われ、即決でレバノンに飛んだ。当時のレバノンは債務不履行直前で街は物々しい雰囲気だった。