特に注目されるのが、今回の中期経営計画がよくある「3カ年計画」ではなく、電動車や自動運転車、コネクテッドカーといった次世代車の登場により、自動車産業として大きな節目となりそうな「30年度までの計画」としたことだ。

 商用車(トラック・バス)は、乗用車とは異なる次世代車対応が求められる。一方で、「2024年問題」など需要家の運転手不足の解決も必要だ。国内対応とグローバル戦略が迫られる中、各社が生き残りに向けて対策を強化しており、その結果、商用車メーカー再編も動きが進むなど、とにかく複雑な動きを見せている。

 その中にあって、今回の30年度に向けた中期経営計画は、長期の視点でいすゞが生き残るための、明確な方向性を示したものだといえるだろう。

 では、中期経営計画の中身を少し見ていこう。

 まず、いすゞは21年に買収したスウェーデンのボルボ・グループ傘下のUDトラックス(旧日産ディーゼル工業)との連携を生かして両社の効率性を向上するとともに、自動運転・コネクテッドサービス・カーボンニュートラルソリューションの3領域の新事業に挑戦することで売上高倍増を目指す。売上高営業利益率10%以上を打ち出したが、これは日産自動車やホンダの中期経営計画の営業利益率目標を大きく上回るものだ。