自分のキャリアを賭けてまで、部下を指導できるか?

上司・先輩は、若手社員を叱ったり、指導したりしづらい状況が続いています。
それは、10年20年かけて積み上げてきたキャリアを失うリスクを抱えているからに他なりません。
 
たとえば、1年目2年目の人に「コラ!」と指導をしたとします。そうすると、もしかするとその瞬間にハラスメントだと言って訴えられたり、部下に辞められたりしてしまうリスクすら、今の時代にはあるのです。

だからこそ、上司・先輩はいつもどうしても、頭の中で「天秤」にかけて比較をします。

「今、この目の前の部下を指導して育てるか」もしくは「自分がハラスメントとして訴えられるリスクを踏まえ、指導しないか」。少なからず、今の社会人はこの2つを比べて、「どっちが得か」をずっと考え続けているのです。

「そんなの本質的じゃない」と思うかもしれませんが、世の多くのビジネスパーソンには守るべきものがあります。事実として、今の世の中はこういう状況になりつつあるのではないかと私は考えています。

「サイレント減点リスク」に気づいているか?

まとめるとどういうことか。
私は、今の時代には、「何も言われず、特に指導もされないまま、黙って見捨てられてしまうリスク」があると考えています。これを「サイレント減点リスク」と名付けましょう。
私が新入社員としてこの会社に入った時には、まだちゃんと叱ってくれる先輩がいました。しかし、今の時代はそれがどんどん減っていると思います。

つまり、「言ってくれる人のほうが、本当の意味では優しい」ということ。言うなれば、「自分のためを思って叱ってくれる人」と出会える確率が極めて下がってしまっている時代だということです。

だからこそ、皆さんがこれからスタートする社会人生活は、ある意味「成長するのが難しい時代」とも言えるのです。
 
(本記事は、『ビジネス会食 完全攻略マニュアル』の研修の一部を抜粋・編集・加筆したものです)