「忙しすぎて本を読む時間がない」「1冊読み切るのに時間がかかる」「読んでも読んでも身につかない」――そんな悩みを抱えているビジネスパーソンは少なくありません。本を読めばいいことはわかっているのに、自主的に読めない人もいるでしょう。
何の本をどう読み、どう活かしていくか――働くうえで必携のビジネススキルを良書から抜き出したのが『ひと目でわかる! 見るだけ読書』。本書は、コスパやタイパを重視する現代的な読書スタイルを重視する人にとっても、魅力的な読み解き&活用法です。たった「紙1枚」を見るだけで本の最も大事なポイントが圧倒的なわかりやすさで理解でき、用意したワーク1枚を埋めるだけで即スキル化できる1冊。それも1万冊の読書体験と1万人を教えてきた社会人教育の経験から、絶対に読んでほしい24冊+αを紹介。ただ、エッセンスをまとめただけでなく、読後には、紹介した本が有機的につながっていく仕掛けがあなたのビジネススキルを飛躍的に向上させます。
旅行に行けないのなら、本の旅へ
私は2023年末にマレーシアに海外教育移住をしました。マレーシアには日本のようなGW休みはありません。その代わりに、5月下旬に子どもの学校で「ミッドターム・ブレイク」というお休みが5日間ほどあるので、この期間を使ってどこか別のアジアの国を訪問してみたいと考えています。
皆さんは、どうでしょうか。現在、GW期間中の方がいると思いますが、せっかくの休みですから、どこか遠出したいもの。けれども、ここ数年はインフレ・円安の時代です。「とても海外は……」「たとえ国内でも旅行はちょっとね」という人が多いかもしれません。
そこで今回は、海外、特にアジアを旅しているような感覚に浸りながら、それでいて仕事や人生に関する重要な学びをたくさん得られてしまう、物語形式のビジネス書を1冊紹介したいと思います。
旅をしながら重要な学びを得られる読書体験
今回紹介するのは、『大富豪からの手紙』(本田健著、ダイヤモンド社)で、とても影響を受けた本です。『大富豪からの手紙』は、主人公が日本国内やアジアを旅しながら、人生の真実を見つけていくという設定の物語。旅のトリガーとなっているのが、タイトルにもある祖父からの「手紙」で、「1:偶然」「2:決断」「3:直感」「4:行動」「5:お金」「6:仕事」「7:失敗」「8:人間関係」「9:運命」の順番で物語が進行していきます。
この本を読んでいて特に響いたのが、最初の「1:偶然」です。自分なりの読み解きをヒトコトでまとめれば、「入口からみれば偶然、出口からみれば必然」。「たまたまだから」「まぐれだから」といって軽視せず、「もっと能動的に偶然に飛び込んでいこう」といった意味合いのメッセージです。
ときには偶然にあえて飛び込んでみる
『大富豪からの手紙』が出てから、もう6年以上が経過してしまいました。当時に比べ、現代はタイパ・コスパを重視する人がますます増えています。そんな今だからこそ、改めてこの本に光があたってほしい。強くそう感じています。
なんでもタイパ重視、すなわち「入口」の段階でパフォーマンス=リターンが得られるかわからないなら動かないという姿勢を繰り返していると、本書のような魅力的な物語=人生が立ち上がってこないからです。味気なくてつまらない、想定内の日々ばかりになってしまいます。
だからこそ、タイパやコスパを超えて、ときには偶然にあえて飛び込んでみる。そのためには損得を超えたところで「2:決断」する力が必要になってきますし、理屈を超えた決断には「3:直感」の力も欠かせません。
このように本書の「9つの手紙」は連動していて、各手紙のつながりを味わいながら読み進めていくことで、通常のビジネス書のように「読んでただ理解するだけ」とは異なる、「心にも響いて行動が変わってくるような」読書体験を得ることができます。
『大富豪からの手紙』を読むことで得られるパフォーマンス=リターンについて、これで伝わったでしょうか。せっかくのGWなのに「旅行にいく余裕がない」という状態なのであれば、今回この記事を読んだという「偶然」をさっそく活用してみませんか。
(本原稿は書籍『ひと目でわかる! 見るだけ読書』著者の書き下ろしです)