精神科医が超絶おすすめする、メンタルにいい趣味とは?
それを語るのは、これまでネット上で若者を中心に1万人以上の悩みを解決してきた精神科医・いっちー氏だ。「モヤモヤがなくなった」「イライラの対処法がわかった」など、感情のコントロール方法をまとめた『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』では、どうすればめんどくさい自分を変えられるかを詳しく説明している。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、考え方次第でラクになれる方法を解説する。(構成/種岡 健)
「自然の力」をメンタルに活かす
仕事が始まって、みなさんそろそろ仕事にも慣れてきましたか?
「毎日ヘトヘトでずっと眠いよ」
「休日になにかしようとしても身体が動かないよ」
そんなあなたは、仕事で忙しい日が続いていて「過度な緊張」状態にあるかもしれません。
緊張感が続くと、日に日にストレスが溜まり、モチベーションの低下や疲労感の蓄積につながってしまいます。
警戒心を解き、明日からの仕事をがんばるためにも、自然の力を活用してみましょう。
ここでは、自然が与えるメンタルヘルスの効果について、共有したいと思います。
「水の流れる音」を聴きに行こう
カールトン大学で行われたシステマティックレビューとメタ解析によれば、人間は自然の音を聞くことでストレスや痛みが軽減するだけでなく、ポジティブな感情や認知機能も向上することが示されています。
キャンプやアウトドアを趣味にしている人が元気な理由の一つかもしれません。
私たちの遺伝子には、自然の音をメンタルヘルスに活かす機能が備わっているのでしょう。
なので、「鳥のさえずり」や「水の流れる音」を聞きに行きましょう。
自然は「アクセスしやすい」ことが大切です。
世界中の約16万人を対象に調査した結果、自然環境へのアクセスが良好な地域に住む人々の方が、精神健康が良好であることが明らかになっています。
疲れたときや息抜きしたいときに、大荷物を持って自然を楽しみに行くのは難しいことかもしれません。
しかし、アクセスしやすい自然環境が近くにあることがメンタルヘルスには重要なのです。
休みの日は「森林浴」
日本には多くの素晴らしい森林があります。
森林浴がメンタルヘルスを整える効果があると、日本で行われた研究で示されています。
森林環境に滞在することで、唾液中のコルチゾールレベルが低下し、血圧や心拍数が安定することが確認されました。
自然を「五感で」感じることが大切なので、寝転がったり、裸足で歩いてみたり、普段の日常では行わない体験をしてみましょう。
自然から受けられる恩恵は多くあります。
自分ひとりでは解消できない緊張感も、自然に触れることでほっこりと緩めることができます。
五月は仕事が少し落ち着く時期だからこそ、緊張感が取れなかったり疲弊しやすい時期でもあります。
自分だけで対処できないと感じるときには、自然の力を頼ってみるといいでしょう。
(本稿は、『頭んなか「メンヘラなとき」があります。』の著者・精神科医いっちー氏が特別に書き下ろしたものです。)
参考文献
(1)Buxton, R.T., Pearson, A.L., Allou, C., et al. (2021). A synthesis of health benefits of natural sounds and their distribution in national parks. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 118(14), e2013097118. doi: 10.1073/pnas.2013097118.
(2)Alvarsson, J.J., Wiens, S., & Nilsson, M.E. (2010). Recovery during exposure to nature sound and environmental noise. Environmental Health Perspectives, 118(5), 657-663. doi: 10.1289/ehp.0901517.
(3)Park, B.J., Tsunetsugu, Y., Kasetani, T., Kagawa, T., & Miyazaki, Y. (2010). The physiological effects of Shinrin-yoku (taking in the forest atmosphere or forest bathing): evidence from field experiments in 24 forests across Japan. Environmental Health and Preventive Medicine, 15, 18-26. doi: 10.1007/s12199-009-0086-9.
精神科医いっちー
本名:一林大基(いちばやし・たいき)
世界初のバーチャル精神科医として活動する精神科医
1987年生まれ。昭和大学附属烏山病院精神科救急病棟にて勤務、論文を多数執筆する。SNSで情報発信をおこないながら「質問箱」にて1万件を超える質問に答え、総フォロワー数は6万人を超える。「少し病んでいるけれど誰にも相談できない」という悩みをメインに、特にSNSをよく利用する多感な時期の10~20代の若者への情報発信と支援をおこなうことで、多くの反響を得ている。「AERA」への取材に協力やNHKの番組出演などもある。