住宅弱者をサポートする
「FRIENDLY DOOR」

 そんななかLIFULLは、2019年に住宅弱者の住まい探しをサポートする不動産会社を検索することができるサービス「FRIENDLY DOOR」をスタートした。「高齢者」や「シングルマザー・ファザー」など、カテゴリーごとに丁寧に対応してくれる“住宅弱者フレンドリー”な不動産会社の検索が可能とのこと。

「住宅弱者当事者は、来店自体を拒否されるケースも多く、部屋探しのスタートラインにも立てません。そこで、当社が運営する住宅情報サイト『LIFULL HOME'S』会員の不動産仲介事業者に、カテゴリーごとのサポートが可能か否かを選択してもらい、可能ならば『FRIENDLY DOOR』に情報を掲載する仕組みを作りました。掲載店舗に問い合わせが入るごとに、料金を支払っていただく形で収益化しています」

サイト「サイトには、不動産会社の店舗内や社員の写真を優先的に掲載しています。住宅弱者の方は部屋探しにいい思い出がない人が多く、少なからず抵抗感を抱いているので、事前に店舗の雰囲気つかんでもらえるよう、写真を掲載しています」(キョウ氏) 画像提供:LIFULL 拡大画像表示

 サービスのリリース当初、500店舗ほどだった事業者は現在、5600店舗超まで数を増やしている(2024年4月現在)。プロジェクトとしては、不動産会社や物件のオーナーを対象に、住宅弱者対応の無料セミナーを開催したり、接客に関するチェックシートを提供したりと、啓蒙活動にも力を入れているという。

FRIENDLY DOOR現在、FRIENDLY DOORで検索できる住宅弱者のカテゴリーは9つ。 「メディア取材を受ける機会が増え、ライターやカメラマンなどフリーランスで活動されている方々も入居審査が通りにくいという話を耳にしました。源泉徴収票や収入を提示しても“不安定な仕事”というイメージが先行して審査が通らないそうです。今後も、当事者に話を聞いて増えるカテゴリーがあるかもしれません」(キョウ氏) 画像提供:LIFULL 拡大画像表示
FRIENDLY DOOR画像提供:LIFULL

「また、障害を抱える方々は行政の専門的なサポートが必要なケースがあるので、当事者の方を居住支援法人につなげることもあります。日本では、住宅弱者や住宅確保要配慮者といった言葉が浸透しておらず、当事者本人も相談先がわからない状況なんです。プロジェクトをはじめてから、住宅弱者が抱える困難を伝える重要性と、難しさを痛感しています」