極端な糖質カットはNG
炭水化物はどのくらい取ればいい?
そうかといえば、炭水化物をまったく取らない極端な糖質カットはNG。糖質は、私たちの体を動かし、脳を働かせるためのエネルギー源として必要不可欠なものなのだ。
「ただ、現代人は、糖質を取り過ぎています。血管を若返らせたいなら、米飯やパン、麺類などの炭水化物をいつもの半分にして、その分、野菜や大豆製品、肉、魚を増やす“ゆる糖質オフ”を試してみましょう。そうすれば、簡単に体重を落とせますし、血糖値の急上昇と急降下が抑えられ血管の老化が防げます」
池谷先生自身も、“ゆる糖質オフ”を実践している。朝食は自家製のニンジンジュース、昼食は、市販のトマトソースと蒸し大豆にチーズをかけ、電子レンジで温める簡単大豆トマトスープ、夕食は野菜と魚か肉の主菜、少なめの米飯などをバランスよくしっかり食べるのがいつものメニューだ。
すでに糖尿病や糖尿病予備軍、高血圧、脂質異常症、メタボリックシンドローム(メタボ)と診断されている人は血管事故を起こすリスクが高まっているので、血管の若返り対策が急務である。
日本人の死因で最も多いのはがんだが、男性の場合は高齢者だけではなく、40代と50代前半の現役世代でも、心筋梗塞や脳血管疾患などの「血管事故」で命を落とす人ががんを上回っている。40~50代でも油断できないのだ。

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メソッド3:抗酸化野菜・果物で血管をガード
「体をサビさせる酸化は、動脈硬化を進める元凶です。リコピンが豊富なトマトや金時ニンジン、すいか、ポリフェノールの一種である抗老化物質ケルセチンを多く含むタマネギ、アスパラガス、プロシアニジンを含むリンゴ、ナッツ類といった抗酸化作用のある野菜や果物を積極的に取りましょう」
また、非常に強い抗酸化作用が注目されているのが、ブロッコリーや、その芽であるブロッコリースプラウトなどに豊富に含まれている「スルフォラファン」という成分だ。他に、カリフラワー、ケール、芽キャベツなどにも含まれている。
ただし、何か1つの食品だけを集中的に取ることは得策ではない。そもそも野菜には、エネルギー代謝に欠かせない「ビタミン」「ミネラル」、抗酸化作用のある微量栄養素「フラボノイド」「カロテノイド」なども含まれる。
野菜に含まれる「カリウム」には、血圧を上昇させるナトリウムの排せつを促し、血圧を安定させ、血管の中の細胞をガードする作用がある。血管をサポートする食物繊維も豊富であり、毎日、野菜をたくさん食べること自体が、血管の老化防止に有効なのだ。