ポイントだけでない「au経済圏」の強み
住宅ローン金利も優遇される!?
次にau。1億人超の会員数を持つ共通ポイント「Ponta」を軸にした経済圏。Pontaはもともと通信会社のポイントではなかったが、2020年にKDDIのauWALLETポイントと統合したことで、auPAYでの決済にも使えるようになった。
au経済圏の強みはポイントだけでなく、グループ金融との連携だ。au PAYにauじぶん銀行を連携、auPAYカードの引き落としをauじぶん銀行に設定、auじぶん銀行とauカブコム証券の口座を連携する「auマネーコネクト」設定と、このすべてを満たすと円普通預金の金利が0.23%(税引き前)になる。
さらに、au回線の契約者が既定の条件を満たせば、住宅ローン金利も優遇に。さらに2023年9月にスタートした通信プラン「auマネ活プラン」に加入し、auPAYゴールドカードで通信料を払い、カードでauPAYにチャージして決済し、auカブコム証券で新NISAのカード積立をし――と、グループのサービスを使えば使うほどPontaのポイント還元率が高まる。通信系というより金融系経済圏と言ったほうがいいくらいだ。
なお、マネ活プランは開始から7カ月で70万契約を突破したというから、通信系としては「大変よくできました」でいいのではないか。
次はソフトバンク=PayPay経済圏。ざっくり言うとPayPayはLINEヤフーの傘下にあり、LINEヤフーの上にソフトバンクがあるという関係のため、通信系・決済系いずれの面も持つ。とはいえ、高還元キャンペーンが多いPayPayが経済圏の顔といっていい。
グループ内には銀行、証券、カード、保険等の金融サービスをそろえており、PayPayアプリ上で取引が完結、決済をすればするほどポイントが貯まる。なお、昨年からソフトバンクは料金プラン「ペイトク」をスタート。
PayPay(残高もしくはクレジット)での決済の際、データ容量別プラン(ペイトク30、ペイトク50、ペイトク無制限)に応じて、ポイント付与が1~5%の上乗せになる(月額の上限あり)。しかし、PayPayは昨年突如、ひもづけできるクレジットカードを自社のPayPayカードに限定すると発表、ユーザーの反発を招いたことは記憶に新しい。
また、携帯の通信料に対するポイント付与はなく、こちらもPayPayカードで決済した場合のみだ。近年は後払いに力を入れている点も含め、還元メリットを享受するにはクレジットカードを作ることが大前提となる。そこがPayPay経済圏にどっぷり浸れるかの分かれ目だ。
なお、親会社であるLINEヤフーはLINEユーザーの情報洩えい問題を抱えており、将来的なPayPayとのID統合に不安を感じるユーザーも少なくないだろう。ユーザーに寄り添う姿勢に期待したいので「もう少し頑張りましょう」としておきたい。