今も何でもメモとかで物理的に残しておかないとどんどん忘れてしまう。シンプルに不便だ。41でこれなら、10年、20年後はどうなるのかなと恐ろしくも思っている。今のところ自覚症状はないけど、他にもいろいろダメージは食らってると思う。20年ほど通っている、池袋某所の最も信頼しているバーのマスターは、酒飲み1年生の時期の私に「酒はドラッグやからね」と何度も釘を刺してくれた。今になってやっとその忠告が沁みている。

いつでもお酒が手に入る社会
酔っ払いに優しい国ニッポン

 国内外の本、フィクション、ノンフィクション問わずあれこれ読んでいると、「日本は酒が手に入りやすすぎる」という指摘を散見する。公道での飲酒を禁じている国や都市もあるし、お酒を買うハードルが高く特に未成年が手を出しづらいシステムになっているところもある。

 それに比べると、確かに、日本はお酒が入手しやすい。最近は減ったけど自販機で売ってるし、コンビニで24時間入手できるし、年齢確認や身分証の提示も、見た目が成人に見えればほぼされない。私なんぞ12歳くらいで今の身長と顔とふてぶてしさが完成してしまったので、未成年のうちからどこで飲んでもどこで買っても咎められることすらなかった(言うまでもないけど良い子も悪い子も普通の子もまねをしてはいけません)。

 かててくわえて、日本は社会全体がよっぱらいの所行になんとなく寛容だ。大の大人が酔っ払って醜態を晒しても、そりゃ推奨や称賛こそされないが、「まあよくあることだよね」「憂さが溜まってたんだろうなあ」と同情のまなざしを向けられることすらある。

 普段カッチカチの社会規範にハメられて過ごしがちなことの反転なのか、酒を飲んだら何を言っても何をしてもノーカン、無礼講という名の下に人としてのリミッターすら外してしまう人もいる。それで財布落としたとかドブにはまった程度で済めばいいが、性犯罪をおかしたり自分の命を危険に晒したりすることもある。

お酒に呑まれたら
「本音と建前」なんて話せない

 日本社会のお家芸的に扱われている「本音と建前」というフレーズ、しかし実際のところ、うちらはこのツールをぜんぜん使いこなせてないのでは?と思う。特に酒に関しては。腹を割って話そうと言っては酒を飲み、酒の席でのことだからとその割った腹の中身をあいまいにしてしまう。