「毎日を気分良く過ごしたい」「他人に振り回されるのをやめたい」「自己肯定感を高めたい」……そんなあなたにおすすめしたいのが、『人生は「気分」が10割 最高の一日が一生続く106の習慣』(キム・ダスル著、岡崎暢子訳)の感情コントロール術だ。簡単なことでは揺らがない自分になるための、「気分」を整える習慣を知ることができる。そんな本書からエッセンスをピックアップして紹介する本連載。今回のテーマは、「攻撃的な人の言葉をスルーするための思考法」だ。(構成:ダイヤモンド社書籍オンライン編集部、文:川代紗生)
「高圧的な相手」を言い負かしたい!
「パワハラ上司は『人生の脇役』だと考える」
力強いフレーズに、ページをめくる手が、思わず止まった。
職場の人間関係に悩む人は少なくないだろう。高圧的な態度をとってくる相手に対し、受け流せばいいのか、言い返せばいいのか、それとも逃げるしかないのか。今あるストレスにどう対処するべきかわからず、途方に暮れている人もいるかもしれない。
そんなあなたに知ってもらいたいのが、本書の「パワハラ上司は『人生の脇役』だと考える」という考え方だ。
多くの人が悩むであろうパワハラ上司の扱い方について、このように書かれている。
なるほど、そう考えればよかったのか、と私が驚いたのは、私がそういった攻撃的な人との人間関係に悩んでいたときは、相手のことを「悪役」と認識していたかもしれない、と気がついたからだった。
この人生の「主役」は私。そして、パワハラ上司は、私の人生に立ちはだかる宿敵であり、「悪役」。この人を倒さないことには、私は幸せにはなれない!
そうやって一方的に、下克上的なストーリーを作り上げてしまっていたが、よくよく考えれば、舞台における「悪役」といえば、「主役」に並んで目立つ役どころである。「裏の主役」と言ってもいいかもしれない。カーテンコールでは最後に登場し、観客から拍手喝采を与えられる──言ってしまえば超おいしいポジションだ。
さんざん私を傷つけてきたあいつに、そんないい役を与えてしまっていたのか!
「悪役」なんて目立つ舞台を与える必要はなかった。ぽっと出の「脇役」でよかったのだ。
「気分」をコントロールできれば、スルースキルも上がる
本書にはさらに、こうも綴られている。
キム・ダスル氏の言葉の魅力は、「本来いるべきだった場所」に、自分が戻っていくような感覚にしてくれる点だ。
たとえば、子どものころには素直に受け止められていた言葉も、大人になるにつれ、その裏を考えてしまうようになる。
「ああ言っていたけど、本心はどうかわからない」「本当は怒っていたけど、気を使って言えなかったんじゃないか」。「ありがとう」や「助かるよ」といったシンプルな言葉でさえ、疑ってしまうことがある。
大人になればなるほど、人に裏切られたり、傷つけられたりする経験をすればするほど、たくさんの偏見が蓄積し、ものごとを素直に考えられなくなってしまう。
そうやって、本来いたところからどんどんずれてしまった自分の視点を、元に戻してくれる。そんな力が、この本にはあると感じる。
「攻撃的な言葉」から心を守るためのとっておきの方法
さらに、「『心を傷つける言葉』を『心をあたためる言葉』にする」というものもあった。
こんな具合だ。
・「おまえはこの程度しかできないのか?」
→「キミは十分に頑張っている」
・「おまえは知らなくていい話だから、首を突っ込まないで」
→「話せるときが来たら、ゆっくり説明させて」
・「おまえに得意なことなんてあるのか?」
→「成功だけがすごいんじゃない。キミが努力してきたこと自体がすごいんだ」
傷つけるような言葉を、心をあたためる言葉に言い換える、というものだ。
それこそ、上司のような、自分より明らかに力のある人から、きつい言葉をかけられたら、「自分はダメな人間なんだ」と思い込んでしまっても無理はないだろう。
けれどそういうときこそ、自分の心を守るために、別の言葉に言い換えてから受け止める。ポジティブなフィルターを通してきちんと濾過してから、心の中に沈殿させるのだ。
自分に自信がないときや、がんばりすぎて疲弊しているときは、攻撃的な人に対抗する元気もないだろう。
そんなときは、キム氏の言葉をメモして、手帳にはさんでおいたり、スマホに記録しておいたり、すぐに見られるようにしておくのもおすすめだ。
「言葉って想像以上に強力で、甘く見たら大ケガをする」。
本書には、そんな言葉も書かれていた。きつい言葉で攻めてくる相手には、自分の「気分」を守る言葉で、バリケードを作らなくてはならない。あなたを否定する言葉を、自分の心に侵入させてはならないのだ。
ストレスフルな環境で、心身ともに疲弊しているときこそ、キム氏の言葉に触れてみてほしい。自分の「気分」を自分で守る方法が、何かしら見つかるはずだ。