<正解>

 端から9番目もしくは5番目の席に座らせる

 他の客の隣に座りたくない。そんな気分のときってありますよね。
 バーでは落ち着いて飲みたい気持ち、私もわかります。
 おそらく似たようなことが、世界中のバーで起きていることでしょう。
 悩める多くのバーテンダーを救う気持ちで、考えてみましょう。

意外と悩ましい「客の動き」

 この問題で求められているのは、「できるだけ多くの客が座れる方法」です。
 そこでまずは、可能な最大数を考えてみましょう。

 13脚のイスがあり、客は隣同士では座らない。
 つまり客が最も多く座れるのは、両端に客が座っていて、客と空席が交互に並んでいる状態です。

 ●○●○●○●○●○●○●

 これなら7人の客が座れます。
 目指したいのはこの座り方です。

 ところが、客は自動的にこんな座り方をしてくれるわけではありません。
 最初の客が1番のイスに座ったとすると、次の客は最も離れた13番に座るでしょう。
 その次の客は、2人のちょうど真ん中の7番のイスに座ります。

 ●○○○○○●○○○○○●

 ここまでは順調ですが、ここからが問題です。
 次に来た客は、すでに人が座っている席の間、たとえば1番と7番の間の席(4番)に座るでしょう。
 同じように次の客も、10番に座っていきます。
 そうすると、こうなります。

 ●○○●○○●○○●○○●

 こうなると、「誰とも隣り合っていない席」は、もうありません。
 つまり最終的に5人しか座れません。
 他の客と隣り合う席に座ってくれる客はいないからです。

ゴールからスタートまで巻き戻してみる

 では、どうすればいいのか?
 選択肢が多すぎて考えるのが嫌になりますよね。

 でも大丈夫。
 この問題もそうですが、とりうる手段が複雑な場合は、

 ゴールから逆算して考えた方がうまくいきます。

 つまり、完成形から時間を巻き戻しながら考えていきます。
 いわば「逆算思考」とでも言いますでしょうか。

 そこでもう一度、目指すべきゴールを確認しましょう。

 ●○●○●○●○●○●○●

 この状態になるひとつ前の段階を考えてみるんです。

 たとえば、1番、5番、9番の席に客を座らせることができれば、その間の3番、7番、11番の席に客を座らせることができます。

 ●○○○●○○○●○○○●

 では、5番の席にかならず客を座らせるには?
 ……1番と9番の席が埋まっていればいいですね。

 ●○○○○○○○●○○○○

 1番と9番の席が埋まっていれば、次にきた客は、その真ん中にある5番の席に座ります。

 では、9番の席にかならず客を座らせるには?
 ……1番と17番の席が埋まっていればいいですね。
 ところがこのバーの席は13しかありません。
 そんなわけで、バーテンダーは最初の客を9番に座るように指定しなければいけません。
 これが正解です。
 ちなみに席の並びは左右対称なので、5番でも正解です。

確認してみよう

 これでうまくいくか、検証してみましょう。
 まず、最初の客を9番の席に座らせます。

 ○○○○○○○○●○○○○

 2人目の客は、9番から最も遠い1番に座ります。

 ●○○○○○○○●○○○○

 3人目、4人目の客は、5番か13番に座ります。

 ●○○○●○○○●○○○●

 そして3番、7番、11番が埋まります。

 ●○●○●○●○●○●○●

 これで、7人が座ることができました。

「思考」のまとめ

 ゼロから考えていくと、いくつも存在する可能性に困惑してしまう問題です。
 しかし理想とする結果から逆算しながら、他者の視点に立って考えることで、おのずと「必要な過程」が見えてきました。

「逆算思考」とでも言うべきスキルを学ぶなら、本問が最高傑作になるでしょう。
 なぜなら逆算するだけで解けるからです。
「未来から遡る」という視点で状況を分析するだけで、複雑な問題が一気に簡単になる。
 まさに、多面的に考えることの大切さが感じられます。

 ・いくつもの可能性が考えられる複雑な問題は、理想とする未来から逆算して考えていくと、おのずと選択肢が絞られていく

(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)

野村裕之(のむら・ひろゆき)
都内上場企業のWebマーケター。論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者
ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。