帽子の色を数字に変換し、3人それぞれ以下を宣言する。
「合計値を3で割った余りが0になる帽子の色」
「合計値を3で割った余りが1になる帽子の色」
「合計値を3で割った余りが2になる帽子の色」
回答を見て「は?」ってなった人も多いと思います。
以前紹介した「50%の帽子」の上位問題ですが、難易度は格段に上がります。
3人になったことで、異なる戦略が求められるのです……。
3パターンに抽象化するには
ぱっと見、わけがわかりません。
「Aが白で、Bが青で、Cも青だったら……」
帽子の組み合わせを考えていくと袋小路に迷い込みます。
A,B,Cの3人がそれぞれ3色の帽子をかぶる組み合わせは、「3×3×3=27」通り。
細かく考えていくとキリがありません。
こんなときに有効なのが、パターンを限定すること。
以前の「50%の帽子」の解説を思い出してください。
「赤赤」「赤青」「青青」という3通りの組み合わせを、「2人とも同じ色」「2人とも違う色」の2パターンに抽象化しました。
これによって、それぞれの場合に正解になる解答を、2人がそれぞれ解答できました。
今回の問題も、なんとかして3人の帽子の色のパターンを「3つ」に抽象化できれば、あとは3人がそれぞれのパターンでの正解を宣言するだけで完了です。
では、いったいどのようにパターンを抽象化すればよいのでしょう?
帽子の色を「あるもの」に変換する
27通りの組み合わせを、3つのパターンに抽象化する……。
たとえば「50%の帽子」と同じ手法で抽象化するとどうでしょうか。
「全員が同じ色」「全員が違う色」「Aだけ違う色」「Bだけ違う色」「Cだけ違う色」……5つのパターンに分けるまでが限界ですね。
では、どうすればいいのか。
結論から言うと、
帽子の色を数字に置き換える
これで、状況をシンプルにできます。
帽子の色を以下の数字に置き換えてみます。
こう考えたとき、3人の帽子の色の合計値は、3で割ったときに「余り0」「余り1」「余り2」の3パターンしかありません。
たとえば3人の帽子が「赤」「青」「白」なら、色の合計値は3。
合計値3を3で割ったら「余り0」です。
3人の帽子が「青」「青」「白」なら、色の合計値は4。
合計値4を3で割ったら「余り1」です。
つまり、3人の帽子の合計値を3で割ったときに、余りが
の3パターンのみに組み合わせを抽象化できました。
役割を決めて宣言する
組み合わせを3パターンに絞れたら、あとは簡単です。
事前に3人で相談して、それぞれが、この3パターンそれぞれの場合に正解になる解答をすればいいのです。
これでいかなる組み合わせでも、3人のうちかならず1人は自分の帽子の色を当てられます。
検証してみよう
たとえば、3人の帽子が以下の状況になったとします。
Bの帽子:青
Cの帽子:白
事前に決めたルールで、帽子の色をそれぞれ数字に変換すると、
Bの数字:青=1
Cの数字:白=2
となります。
以下は3人それぞれの思考です。
「BとCの合計は3だから、3で割った余りを0にするために、私は赤(0)と答える」←不正解
「AとCの合計は3だから、3で割った余りを1にするために、私は青(1)と答える」←正解
「AとBの合計は2だから、3で割った余りを2にするために、私は赤(0)と答える」←不正解
このように、少なくとも1人は、自分の帽子の色を当てられます。
「思考」のまとめ
正直、「数字に置き換える」という方法が自力で浮かんだ人はわずかだと思います。
ですがこの手法は、論理的思考問題ではたまに登場します。
抽象的な概念や集計の難しい情報も、別のものに置き換えてみると、比較したり一元的にとらえたりできるのです。
「置き換えて考える」、便利な思考ではあるので押さえておきましょう
・数字など別のものに置き換えることで、情報を整理できる
・数字は持てる情報量が少ないため、シンプルに整理しやすい
(本稿は、『頭のいい人だけが解ける論理的思考問題』から一部抜粋した内容です。)
都内上場企業のWebマーケター。論理的思考問題を紹介する国内有数のブログ「明日は未来だ!」運営者
ブログの最高月間PVは70万超。解説のわかりやすさに定評があり、多くの企業、教育機関、テレビ局などから「ブログの内容を使わせてほしい」と連絡を受ける。29歳までフリーター生活をしていたが、同ブログがきっかけとなり広告代理店に入社。論理的思考問題で培った思考力を駆使してWebマーケティングを展開し、1日のWeb広告収入として当時は前例のなかった粗利1500万円を達成するなど活躍。3年間で個人利益1億円を上げた後、フリーランスとなり、企業のデジタル集客、市場分析、ターゲット設定、広告の制作や運用、セミナー主催など、マーケティング全般を支援する。2023年に現在の会社に入社。Webマーケティングに加えて新規事業開発にも携わりながら、成果を出している。本書が初の著書となる。