近年、日本には不動産バブルが到来している。加えてマイナス金利の解除も決定し、そろそろ家を買おうかと考えていたものの、不安を感じる人も多いのではないだろうか。そんな住宅購入を不安に感じる人の悩みを解決ために本当に家を買っても大丈夫か?と思ったら読む 住宅購入の思考法』が発刊された。本記事では発刊を記念して、本文の一部を抜粋、再編集してお届けする。

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新卒3年目、初めて家を買う

 私が初めて家を買った経験をお伝えしたいと思います。それは26歳で、大卒社会人としてはかなり若い年齢でした。一人暮らしの社会人3年目。私は株式会社リクルートに在籍し、皆さんご存じのSUUMOという不動産メディアで働いていたため、周りには不動産好きの人が非常に多い環境でした。

 加えて、家を売買している企業が私のクライアントだったため、早く自分で家を買うという経験をしてみたい、という思いも私には強くありました。まず私は自分が住みたいエリア、そして借りられる金額を確かめたうえで、安直にですが「築10年前後」といういわゆる築浅マンションがいいかな、と探しはじめていました。

 ただ、築浅の物件は当然高い。そしてほしいエリアは物件が少ないということで、私の家探しは早くも難航しました。何度か内見には行きながらも、ゆうに半年は探していたでしょうか。いい物件かなと思っても、価格的に手が出せなかったり、逆にこれだったら無理して買わなくてもいいよなと思ったり、グルグルと悩みながら時間だけが過ぎました。

 そんななか、営業担当の方から『築古でリノベーション』という選択肢を提示されました。築古リノベーションであれば、築年数は古いが、なかは自分の思うようにできる。また、エリア的にも都心部で探していたので、古くても、土地の価値がしっかりあるということでした。築古に対する不安はもちろんありましたが、そういう選択が合理的なのではと思えました。

 このように、考えてもいなかった選択肢を提示してくれることを、いわゆる『軸ずらし』と言ったりします。その人が考えている条件の一部を適切にずらすことで、選択肢を増やす。それによって最適な選択を行えるようにするのが不動産営業・エージェントの1つの付加価値です。