「がんばっているのになんで売れないんだろう……」こんな悩みを抱えている人は少なくありません。本稿では、売れない理由と、陥りがちな「5つの勘違い」について紹介します。
足のあるおばけは怖くない
以前、明治時代から続いている有名な老舗(しにせ)旅館に伺ったときのこと。
夜、一人で露天風呂に入っていると、大きな木の向こう側から、話し声が聞こえました。でも、そっちはお風呂も洗い場などもなくて、誰もいないはず。僕は、とうとうおばけが出たのかなと思って、ビクビクしていました。
でも、せっかくいい気持ちで温泉に入っているのに、それを邪魔されるのも嫌だなと思って、おそるおそる話し声がするほうを見に行ってみました。
すると、そこには誰もいなくて、掃除用の蛇口から水滴が落ちているだけでした。その音が反響して話し声のように聞こえていたんですね。
正体が分かれば怖くありません。蛇口を閉めるという対策をすればいいだけです。人生や仕事に起こるいろいろな問題も同じです。
原因が分からないとビクビクと恐れることになりますが、その原因が分かれば対策を考えればいいだけです。
では、「売れない原因」について考えてみましょう。
売ろうとするから、売れない?
僕が経験してきた「売れない原因」をお伝えする前に、あなたに質問があります。
――Q.「売れるとき」と「売れないとき」、何が違うと思いますか?
昔の僕は本当に売るのが下手でした。それが今は、上手に売れるようになりました。昔の僕と今の僕、何が違うと思いますか?
「売れるとき」と「売れないとき」、そこには大きな違いがあります。売れないときの僕は、いきなり売ろうとしていたのです。いきなり「これいいですよ!」と始める。だから売れませんでした。
売上を上げたいし、たくさん買ってほしい。でも、そう思って、売ろうとすればするほど、売れないのです。なぜかと言うと、買う人がその気になっていないからなのです。
「欲しい!」という気持ちになっていないのに、「この商品、すごくいいんですよ!」「この色が素晴らしくて!」「この肌触りが最高で!」などと、一生懸命に説明したり、説得したりしても、そもそも相手は興味がないわけですから、売れないのです。
重要なのは、まだ買いたいと思っていない人をその気にさせること。対話をして、「欲しい!」という気持ちを引き出すことです。
相手との対話ができれば、説得しなくても、売り込まなくても、トーク力がなくても、追いかけなくても、相手から「欲しい!」と言ってもらえるのです。