また、指示や具体的な方針が出るまで働かない受け身の姿勢が、どれほど周りの人たちに負担をかけることになるのか、少し考えればわかるはずだ。

 主体性に欠ける、というだけで組織にはマイナスである。そのことは必ず胸に刻んでほしい。指導する立場のマネジャーも自覚すべきだ。

「なかなか主体的に動けないようで」と呆れている場合ではない。上司は部下に「深刻な病気だ」と伝える義務がある。

 とはいえ、そのように厳しく言ってもそう簡単に変わるものではない。

 周りに受け身の人が多すぎるのか、それとも本人の感度が著しく低いのか。いずれのケースであっても、この問題を解決するには、個人ごとに、丁寧に働きかけなければならない。

 では、そのために、マネジャーは何をすべきなのか?

 最初にやるべきことは、その人が本当に主体的なのか、主体的でないのかを見極めることだ

主体性の有無を見極める
キーワードは「モノサシ」

 主体的でない人は、自分が主体的でないことを認識していない。

「私はどちらかというと、自ら主体的に行動するほうです」

 このように採用面接でアピールする求職者がいるが、何度騙されたかわからない。もっと信用できないのが他薦だ。

「Yさんはとてもやる気があるから、プロジェクトのメンバーになったら主体的に取り組んでくれるんじゃないか」

 このような言葉もまったくあてにならない。

 主観的な判断ではなく、客観的に主体性が「ある」か「ない」かを判別すべきだ。

 その判別は、

(1)インサイドアウト/アウトサイドイン

(2)やりすぎ/やらなすぎ

 という、2つの視点で見極めることができる。

 最初に紹介するのが「インサイドアウト」「アウトサイドイン」の切り口だ。

「インサイドアウト」は、問題が自分の中にあると考えることを指す。逆に、「アウトサイドイン」は、問題が自分の外にあると考えることを指す

 この違いは、自分の中に「モノサシ」があるかないかによって生まれる。

「モノサシ」がない「アウトサイドイン」の人は、目標ではなく身近な人の思考や行動に反応する。