インドで年間1万米ドル以上稼ぐ
成人の割合(2022年)

インドの消費市場拡大を阻む中産階級の発展の遅れ、経済発展の鍵を握る格差是正インドで年間1万米ドル以上稼ぐ成人の割合(2022年) 出所:世界不平等データベース

 成長に陰りが見える中国に代わって、同じく14億人の人口を抱えるインドが世界経済に巨大な消費市場を提供することへの期待が高まる。

 ただ、消費をけん引する中産階級の発展は中国と比べて極めて遅れている。国ごとの物価水準の違いを勘案した購買力平価ベースで米ドル換算すると、1万ドル以上の年間所得が中産階級の目安となる。10%刻みで所得の階層分布を見ると、中国では2022年時点で少なくとも上位60%が1万ドル以上の所得を稼いだが、インドでは上位20%にとどまっている。

 こうした両国の差は過去30年で急速に拡大した。所得分布を低い方から10%刻みの階層で見ると、50%から90%の間に分布する中間40%層の平均所得は1990年代初頭には両国共に5000ドル程度で差はなかった。ところが、22年には中国3万ドル、インド9000ドル弱と3倍以上の差がついている。