自民党の裏金事件がきっかけ
「第三極」政党は立ち位置を失った
良い例が、裏金事件を受けた政治資金規正法改正案への対応だ。維新は衆院で自民党から法案の一部修正を得られたとして賛成しながら、ここへ来て「参院では反対もあり得る」として、党内の混乱を露呈している。党の立ち位置を見失っていることの表れだろう。
維新の馬場伸幸代表は最近、またぞろ「大阪都構想の実現」に言及している。住民投票で2度も否決された政策を平然と持ち出す姿勢にあ然とするが、この発言で感じるのは、彼らはすでに国政に飽きているのではないか、ということだ。
現在でも大阪の地方議員が圧倒的な力を持つとされる維新。国政与党の自民党との太いパイプを背景に、大阪で大きな権力を振るうことこそ、彼らが本来やりたい政治なのだろう。メディアに乗せられて「保守2大政党」の片棒を担がされることなど、もう面倒になったのではないだろうか。
「第三極」と言えば、国民民主党も本稿執筆中の6月13日夜の時点で、都知事選への対応が定まっていない。榛葉賀津也幹事長は「共産党と堂々と連携する人は応援できない」と述べ、蓮舫氏を支援しない方針を明言しているが、一方で小池氏の支援も独自候補の擁立も打ち出せていない。
国民民主党は、17年に小池氏が立ち上げた希望の党に、当時の野党第1党・民進党(民主党から改称)が合流を決め、党が分裂した中で誕生した。小池氏率いる希望の党について行き、結果として離れた元民進党議員らが結党した国民民主党は、同じ政党から分かれた立憲民主党と、野党内での主導権争いを続けてきた。
現在の国民民主党は、20年に同党の多くの議員が立憲民主党に合流した際(現在の泉健太代表もこの時の合流組だ)、それを拒んだメンバーからなる。党が小さくなった分、立憲への対抗意識は以前よりも強い。玉木雄一郎代表は「立憲と組みたくない」がゆえに同党の「逆張り」を続けるうち、目的と手段が混同して「与党寄り」姿勢が目立ち始めた。それが原因で前原誠司氏ら有力メンバーの離党を招き、さらに小さな党になった。