国民民主党は哀れにも小池支援を打ち出せない
潮目が変わり「保守系勢力はバラバラ」に
4月の衆院東京15区補選で国民民主党は、小池氏が特別顧問を務める都民ファーストの会が推薦した無所属候補を共に推薦し、立憲の公認候補らと戦ったが、5位に沈んだ。だから、同党が都知事選で蓮舫氏を支援しないのは、驚くに値しない。むしろ哀れなのは、同党が補選で「共闘」した小池氏の支援を、いまだに打ち出せないことだ。
国民民主党が補選で小池氏らが推す候補に「乗れた」のは、候補者が自民党からの支援に難色を示したため、形の上では「非自民」候補として選挙を戦えたからだ。だが、補選の惨敗を受け、小池氏は都知事選で、自民党の支援を得られることを事前に確認した上で、出馬表明に踏み切った。小池氏は自らが勝つためには、国民民主党よりも、自民党の組織票こそが必要だったのだ。
こうなると国民民主党は、表立って小池氏支持を打ち出すのは難しい。玉木氏は6月11日の記者会見で「あまり(自民党に)抱きつかれても、小池さんも困るんじゃないですかね」と述べたが、もはや恨み節にしか聞こえない。
このように振り返ると、維新も国民民主党も以前の選挙で小池氏と強いつながりがあったことが分かる。その小池氏が3選を目指す都知事選で、彼らは少なくとも表立って結集できない。かつて野党勢力の「バラバラ感」がやたらと強調されたが、現在のトレンドはむしろ「保守系勢力のバラバラ感」に移っている。
政治の潮目が変わったと思う。結局、与野党の間をうまく渡り歩いて美味しい汁だけ吸おうとする「第三極」勢力は、立憲という野党の「核」が確立されると、こうして存在意義を失ってしまうのだ。