10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売になった。本書を抜粋しながら、家庭にも取り入れられるそのノウハウを紹介する。

【算数オリンピック入賞者多数輩出の塾長が語る】勉強好きじゃなくても「後伸び」する子の共通点Photo: Adobe Stock

「熱中体験」のある子が伸びる

「小3までに算数をとことんやらせてあげて」と言われても、「とりたてて算数が好きというわけでもないしなぁ……」と、困ってしまった方もいるかもしれません。

「うちの子は漫画ばっかり読んでて……」という話もよく聞きます。
 親からすると、勉強もしないで漫画に没頭していると心配になりますよね。

 だけど、幼少時はそれでいいです。
 むしろ、それがいいです。
 なぜなら、算数力が伸びる子というのは、必ずいつも「マイブーム」を持っていることが多いからです。

 マイブームは、漫画でもお絵描きでも何でもかまいません。大切なのは、「何かに熱中する」という体験を得ることにあります。

 熱中体験がある子は、「天才パズル」(P209〜参照)やりんご塾との出会いを通して、算数の面白さに気付いたとき、今度は算数がマイブームになります。

「算数がマイブーム」というのはピンとこないかもしれませんが、算数がマイブームになり、算数オリンピックでメダルを取るような子というのは、2時間ぐらい余裕で「天才パズル」を解いています。

自分の好きなことに主体的に取り組む姿勢が重要

 これは、DVDで好きなアニメを見ているのと同じです。算数も好きなアニメも、子どもにとっては同じ。どちらも楽しくて幸せな時間なのです。

 マイブームというのは、その子にとって自己表現の一種なのだと私は思います。「僕はポケモンが好き!」「私はプリキュアが好き!」と、自分が好きなものを伝えることを通して、自分という人間を表現しているのです。そうやって心を満たし、自分を少しずつ確立していくことで初めて、何かをつかみ取っていこうという前向きさが生まれるのではないでしょうか。

 自分の好きなことを主体的に取りに行く姿勢が身に付けば、将来的にも安心です。そういう子は、きっと大人になってからも自分が夢中になれるものを見つけ出し、やりがいを持って仕事に打ち込めることでしょう。

*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。