多くの人が悩みを抱える「腰痛」。日常的に痛みを感じたり、急にぎっくり腰になったりすると、普段の生活に大きな影響が出てしまいます。
では、「腰痛の原因」とは何なのでしょうか?
本記事では、正しい原因やケアを知るために、18年間で延べ6万人以上の体の悩みを改善した整体師であり、書籍『顔のゆがみがととのうと驚くほどきれいな私が現れる』(高野直樹著、森下真紀監修)の著者である高野氏にその理由を聞きました。(取材/構成:塩尻朋子)

整体師が教える「慢性的な腰痛」と「ぎっくり腰」の本当の原因とは?Photo: Adobe Stock

実は、腰痛の原因は「腰」でないことが多い

――もはや、国民病とも言える「腰痛」。激しい痛みはなくても「なんとなく、腰が重い」「違和感がある」と感じる人は少なくありません。腰痛の本当の原因と正しい対処法を教えていただけますか?

高野直樹(以下「高野」):多くの人は、腰痛があると腰を揉んだり、腰のマッサージを受けたりします。でも、痛みがやわらぐのはそのときだけではないでしょうか。なぜなら、実は多くの場合、腰痛のほんとうの原因は「腰」にはなく、脚にあることが多いからです。

 もちろん、中腰の姿勢でいることが多いなど、腰回りの筋肉に負担がかかるような生活習慣があることも、腰痛の原因の一つです。また、書籍『顔のゆがみがととのうと驚くほどきれいな私が現れる』(ダイヤモンド社)でも紹介した「足を組んで座る」「片足重心で立つ」などのクセにより、骨盤まわりの筋肉の左右バランスが乱れ、ゆがみを生じていることも原因になり得ます。

 自分の骨盤のゆがみをチェックする方法は、書籍でも紹介した次の方法を試してください。

整体師が教える「慢性的な腰痛」と「ぎっくり腰」の本当の原因とは?イラスト/平澤南(※『顔のゆがみがととのうと驚くほどきれいな私が現れる』より)
床にあおむけに寝て、両ひざを曲げて立てます。このとき両ひざはそろえておきましょう。
両方の肩は床につけたまま、浮かないようにしながら、ひざを左右に倒します。
どちらかで、やりやすいほう、やりにくいほうがあったら、左右の状態がアンバランスになって、骨盤がゆがんでいるといえます。

骨盤まわりのケアの方法は『「猫背、反り腰、ぽっこりお腹」の原因となる“骨盤のゆがみ”をカンタンに整える方法』で紹介しています。

 ただ、これ以外の大きな要因の一つとして、脚に問題があることが多いと言えるのです。

――なぜ、脚に問題があると腰痛になるのでしょう。

高野:解剖学的に見ると「腰」というのは、首の頸椎(けいつい)から尾てい骨までつながる背骨のうち、腰椎(ようつい)という5つの腰の骨と、尾てい骨までを指します。腰椎からは、足の前、内側、外側に向かって足先まで神経が走っており、尾てい骨の上にある仙骨(せんこつ)からは、モモの裏側やふくらはぎまで神経がつながっています。

 そして、脚の血管や神経が、筋肉の緊張により圧迫を受けると、腰に痛みを感じるという仕組みなのです。

 たとえば、ふくらはぎがパンパンに張りがちな人は、仙骨を中心とする腰の下あたりが重かったり、痛かったりすることが多い。一方で、膝を曲げて歩くクセがある人は、太もも筋肉がこわばりやすくなります。すると、仙骨よりも上の、腰椎あたりに違和感を感じるようになるのです。

 神経は、末端に行けば行くほど、その大元に影響が及ぶことがわかっています。つまり、足首やふくらはぎなどの足先や脚の筋肉が硬直していると、ダイレクトに腰回りの神経に影響を及ぼし、腰回りの緊張を招きます。