また、キャリアに関する語りの多くは、ひと握りの成功者の声ばかりが大きく取り上げられています。生存者バイアスが非常に強い言葉が多いのです。

 結論としては、その成功者がすごかったか、たまたま運が良かっただけで、それを再現できるかというと嘘になるでしょう。

 再現化できないということは、つまり体系的に語りづらいということですから、やはりシンプルなメッセージになりやすい。そして、過度に単純化したほうが多くの人には伝わりますから、「キャリアアップ」の言説ばかりが、世間には駆け巡っていくわけです。

 ですから、まずは、そうした分かりやすいようでいて、よく考えてみると結局、何を言っているのかよく分からない、フワッとした言葉を鵜呑みにしないことです。

 そして、自分の強みを分析し、その強みを活かせる場所を探すことから、着実に始めるべきだと思います。そのように足を地につけて、一歩一歩考えていくことが、漠然とした不安をかき消すためのヒントを与えてくれるのではないでしょうか。